●症例2 50歳代 女性

最終診断名;
 HTLV-1 associated bronchiolo-alveolar disorder(HABA)
 HTLV-1 associated bronchopneumopathy (HAB)

解説
 Human T lymphotropic virus type 1 (HTLV-1)はレトロウイルスの1種でAdult T-cell leukemia (ATL)の原因として知られ,その他の病態として神経障害をきたすHTLV-1 associated myelopathyがある。
 HTLV-1 associated bronchiolo-alveolar disorder(HABA)はHTLV-1感染者の腫瘍細胞の浸潤や日和見感染とは異る呼吸器病変として提唱された。TBLBやBALで気管支粘膜下のT細胞の浸潤とHTLV-1が証明され,腫瘍化する以前のHTLV-1感染T細胞の肺への浸潤やHTLV-1感染T細胞の集簇的浸潤あるいは線維化ないし肉芽によるもの推測されている。またHTLV-1に対する免疫応答の結果とも推測されている。画像所見としては細気管支病変や間質,肺胞病変,気管支壁肥厚を伴った気管支拡張が報告され,DPBやIIPの原因とも考えられている。

参考文献
・木村郁郎:HABA (HTLV-1関連細気管支肺胞異常症, HTLV-1 associated bronchiolo-alveolar disorder.日胸疾誌,30(5):787,1992
・田口浩之,他:ATL(adult T-cell leukemia)に合併した慢性気道病変の3症例.日胸疾誌,30(12):2134,1992
・鈴木勇,他:潰瘍性大腸炎の既往を持つ(HTLV-1 associated myelopathy)患者に生じた気管支拡張の1例.日胸疾誌,32(4):358,1994

 
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 moderator : 阿部克己



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