症例5 60代男性

確定診断;(胃切除後)胃石
   Gastric phytobezoar mimicking gastric cancer

胃石
・多種類の食材やその他の物質が消化管の中に固型の塊として集まったもの
・胃毛球と植物性胃石に分類される
・胃毛球は神経精神病学的障害をもつ患者に発症し、植物性胃石はBillroth I or II法による胃部分切除術を行ったもの、特に迷走神経切断術を行った患者において殆ど常に認められる

胃石の症状と徴候
・症状 ほとんどの胃石は無症状だが、食後の膨満感、吐き気、嘔吐、消化性疼痛、消化管出血が生じる事がある
・胃切除により前庭部の関門様機能が消失するので,胃摘出後の胃石は小腸閉塞をきたす恐れがある

胃石の診断
・胃石は通常、胃透視(術後透視)で発見されるが、腫瘍と鑑別困難な場合もあり、腹部US、CTでの確認も必要である
・内視鏡で胃石は不整な表面を持ち、黄緑から灰黒色まで幅広い色を呈している
・内視鏡による生検で毛状物や植物性の物質を認めれば確定診断可能である

胃石の治療
・食物塊については治療の必要はない
・凝結石や胃毛球は手術が必要
・植物性胃石は食物塊と凝結石の中間
主な治療法
・流動食、胃吸引洗浄、内視鏡下胃石粉砕
・薬物療法:セルラーゼ(1.2L,0.5g/L水2日間)
・コカコーラによる経鼻的胃洗浄!
Gastric phytobezoars may by treated nasogastric Coca-cola lavage
Spiros D, et al. Eur J Gastroenterol Hepatol. 2002 Jul;14(7):801-3

参考文献
1) メルクマニュアル 第17版 24章 胃石と異物
2) Gastric phytobezoars may by treated nasogastric Coca-cola lavage Spiros D, et al. Eur J Gastroenterol Hepatol. 2002 Jul;14(7):801-3

 
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