症例2 50歳代 女性

最終診断: Wegener granulomatosis

 
Wegener granulomatosis(WG)

上気道、肺、腎などを侵す原因不明の壊死性肉芽腫・血管炎。侵される臓器は、頻度の高い順に、肺・副鼻腔(90%以上)、腎(80−85%)、鼻/上咽頭・関節(60−70%)眼・耳・皮膚(40−60%)、神経系・心臓(10−25%)C-ANCAは主要検査所見で、75ー96%に陽性だが、結節性多発血管炎、Churg-Strauss 症候群、糸球体腎炎でも10−30%陽性なので、疾患特異的とはいえない。( 提示症例の値は、13.5U/ml(正常:3.5 以下) )

画像所見
結節性病変が多発性で両側肺野に認められることが多い。約半数に空洞と伴う。
結節影の大きさは 5−100mmで、数は10個以下のものが多い。大きいものほど空洞化しやすい。浸潤影は約半数に認められ、形態・範囲・濃淡、様々である。
鑑別には、肺炎、結核、肺癌、血行性肺転移、真菌症が挙げられる。
WG では、非区域性に多発する傾向が強いので、小葉中心性に撒布する炎症性病変とは鑑別可能。肺癌、血行性肺転移とは一度の画像のみでは鑑別困難なことがあるが、提示症例のような自然経過をとれば鑑別可能となる。

 
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 moderator:都立広尾病院 竹政和彦



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