症例 1:50歳代 女性

最終診断

脳結核腫 CNS tuberculosis (tuberculoma)

脳結核腫
・結核は昔のものと思われがちであるが、AIDS・糖尿病・悪性腫瘍・ステロイドや薬剤抵抗性の出現などにより、先進国でも感染率の高い疾患
・結核腫は腫瘍と間違えやすいので、今回のケースのように「脳腫瘍」として紹介されたときなど、胸部単純X線撮影などで結核の鑑別を
・中枢神経系では髄膜炎に次ぐ頻度。
・血行性であり、大脳皮髄境界に見られることが多い。
・中枢神経系では髄膜炎に次ぐ頻度。
・血行性であり、大脳皮髄境界に見られることが多い。成人ではテント上・小児では小脳に多い。
・20%が多発性。

脳結核腫のCT
(1) 第1期(pregranulomatous stage):明らかな異常所見がないか、または増強効果のない低吸収域(限局性脳実質炎)
(2) 第2期(inflammatory granulomatous stage):円形・卵円形低吸収腫瘤で、均一な造影効果
(3) 第3期(central caseation stage):低〜高吸収腫瘤で、リング状の造影効果
(4) 第4期(tuberculous abscess stage):中心部は壊死による低吸収

脳結核腫のMRI
(1) まだ乾酪性変化が完成していない非乾酪性肉芽腫の時期:T2強調画像で高信号・T1強調画像で低信号・造影T1強調画像で均一な増強効果
(2) 乾酪性変化があるが充実性成分が優位な時期:T2強調画像で等〜低信号・T1強調画像で低〜等信号・造影T1強調画像でリング状の増強効果
(3) 乾酪性壊死が進行して液状化した時期: T2強調画像で辺縁部が低信号を有する高信号・T1強調画像で低信号

●鑑別診断へ

●症例提示へ


Moderator:町田 幹

●291回目次ページへ戻る

●東京レントゲンカンファレンス掲載目次のページへ戻る