症例 3:70歳代 男性

診断

膿胸関連リンパ腫
Pyothorax-associated lymphoma
EBvirus感染T細胞性リンパ腫

・結核感染後の膿胸腔に、結核感染後20年以上罹患した後に発生する悪性リンパ腫
 (1987年、青笹)
・報告例は日本からのものが多い
・年齢は平均60歳(40〜80歳)
・男:女=約5:1
・約80%に肺結核に対する治療として人工気胸術の既往がある
・症状は胸痛などが多く、膿胸腔に腫瘤を形成し、周囲に浸潤発育
・大部分がB細胞性非ホジキンリンパ腫
・瀰漫性大細胞性リンパ腫が多い
・壊死を伴うことが多い
・EBvirusとの密接な関係(1993年〜)
・治療抵抗性とされる

画像診断

・ CT
・ MRI(拡散強調画像に期待)
67Gaシンチグラフィ(SPECT/fusion)
18FDG-PET→(PET-CT)
11Cメチオニン-PET→(PET-CT)

治療
T細胞性リンパ腫なのでCHOP3cycle+RTx40Gy/20Fr.

3次元的放射線治療計画

*もし、CD20抗原陽性のB細胞性リンパ腫であったら、Rituximabや抗CD20放射活性標識モノクロナール抗体Ibritumomab tiuxetan(90Y-Zevalin)による治療も可能

治療後の胸部CT

治療後の67Gaシンチグラフィ胸部SPECT


まとめ
・結核感染による慢性膿胸および肺結核の人工気胸術後に発生した膿胸関連リンパ腫の1例を経験した。
・臨床情報、CT、ガリウムシンチグラフィにて膿胸関連の悪性リンパ腫であると診断するのは容易であったが、 治療に重要な情報であるT細胞性リンパ腫と診断することはできなかった。
・CTガイド生検による組織採取は病理診断に寄与した。
・将来、T細胞抗原に対する放射活性標識モノクロナール抗体が開発されれば、それによるimaging(画像診断)が可能となり、radioimmunotherapyも期待される

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Moderator:戸矢 和仁・喜多 和代

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