症例7 30歳代 女性
その後の経過
  • TBLBはとくに所見なし
  • 抗酸菌はBALと胃液で negative,クォンティフェロン陰性
  • 喀痰細胞診で菌体確認され,PCRで Coccidioides posadasii と同定された(アリゾナに生息する広義の Coccidioides immitis に属する)
診 断:

肺コクシジオイデス症
Pulmonary coccidioidomycosis

胸部CT(2.5mm厚)肺野条件 ジフルカン投与開始3ヵ月終了後

コクシジオイデス症
  • 米国西南部(カリフォルニア、アリゾナ、テキサス、ネバダ、ユタ州),メキシコ西部,アルゼンチンのパンパ地域,ベネズエラのファルコン州の半乾燥地域の風土病→渓谷熱、砂漠リューマチ,砂漠熱とも呼ばれている.
  • 半乾燥地帯の限られた地域の土壌中に原因真菌である Coccidioides immitis が生息→強風や土木工事などで空中に舞い上がった分生子を吸入することにより肺に感染し,毎年多数感染者が発生する.
  • 病原性はペスト菌に相当.
  • 4類感染症に定められており,診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なくてはならない.
臨床病型

1. 原発性肺コクシジオイデス症
  60-80%は無症状
  インフルエンザ様症状=渓谷熱(valley fever)
  ・segmental/lobar consolidation
  ・patchy infiltrates mainly in lower lobes (46-80%) frequently subpleural + abutting fissures
  ・peribrochial thickening
  ・hilar adenopathy (20%)
  ・pleural effusions (10%)

2. 良性残留性コクシジオイデス症(感染者の5%)
  ・one / several well-defined nodules
  ・persistent / progressive consolidation
  ・"grape skin" thin-walled cavities (in 10-15%), in 90% solitary, 70% anterior segment of upper lobes
  ・bronchiectasis
  ・mediastinal lymphadenopathy

3. 播種性コクシジオイデス症(感染者の1%)
  ・micronodular "miliary" lung pattern
  ・pericardial effusion

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Moderator : 負門 克典