症例1 10歳代後半 男性
最終診断
Alveolar soft part sarcoma

Alveolar soft part sarcoma

  • 1952年にChristophersonらによって記載された得意な軟部腫瘍。
  • 軟部肉腫の0.5-1.0%を占めるまれな腫瘍。
  • 15-30歳に多く、男女比は1:3.
  • 成人例は大腿前面の筋肉内など深部に多い。
  • 小児例は眼窩、舌など頭頚部に多いが四肢と躯幹部にも生じる。
  • 発育は緩徐。
  • MRIではT1WI,T2WIともに高信号を呈し、造影にて濃染される。
  • 腫瘍内部や辺縁にflow voidを認める。
  • 血管造影では、著明に拡張した血管や動静脈shuntとpooringが見られる。
  • 肉眼的には比較的境界明瞭な大きい腫瘍を形成。
  • 割面は灰黄白色でしばしば出血、壊死を伴う。
  • 組織学的には、大型の腫瘍細胞が薄壁の裂隙状血管腔で境界された胞巣を作る内分泌腺構造をとって発育する。
  • 多くの細胞は細胞内にジアスターゼ抵抗性、PSA陽性の針状結晶を有する。
  • 治療は、化学療法、放射線療法とも無効例が多く、手術が第一選択。
  • 増殖速度が遅く、広範囲に切除されると局所コントロールは良好であり再発はほとんどない。
  • 遠隔転移は早期からみられ、肺、骨、脳の順に多く、転移率は65-77%。
  • 遅発性転移例も多く、転移率は5年で40%であるが、経年的に増加していく。
  • 予後は若年者ほど良好。
  • 5年累積生存率は44-62%だが、経年的に低下する。
T1WIにて高信号を呈し、hypervascular を呈する腫瘍は特徴的な腫瘍であり、本性例は典型的な所見を呈したので出題としました。
・鑑別疾患へ
・症例提示へ

Moderator : 佐野 美香