症例2 20歳代  女性
最終診断
Steroid cell tumor, not otherwise specified of right ovary

Steroid cell tumor, not otherwise specified

  • 卵巣steroid cell tumorは卵巣のsex cord-stromal tumor の中でもまれで、以前はLipid cell あるいはLipoid cell tumor といわれていたもの。
  • Steroid cell tumor は卵巣腫瘍の 0.1%の頻度であり、3つの subtype にわかれる。
      stromal luteoma
      Leydig cell tumor (Hilus cell tumor, Leidig cell tumor;nonhilar type)
      Steroid cell tumor, not otherwise specified
  • 起源はあきらかではなく、副腎遺残あるいは黄体化細胞ないしはLeydig細胞起源で副腎機能を獲得したものといわれている。
  • 大部分は30歳もしくはそれより若年(平均25歳)。通常は成人発症。2-13歳の若年者の報告もあり。
  • 腫瘍径は8cmのものが多い。
  • ほとんどが片側性、両側性のものは5%にすぎない。
  • 早熟や男性化がしばしば合併し、60-70%の高頻度に見られる。その他、肥満、無月経などが合併。
  • 約20%の症例は手術時に骨盤内に播種していたことが報告されており、25-43%は臨床的に悪性の経過をとっている。
  • 16歳以下に発生した腫瘍は良性といわれている。
  • CTでは単純CTにて低濃度、造影にて濃染。
  • MRIでは、脂肪や線維性間質の割合でさまざまな信号を取りうるが、報告ではT2WIでは高信号を呈し、内部に低信号の結節状の領域が認め、T1WIにて低信号を呈するものが多かった。
  • 明らかな脂肪信号を認めない場合でも、chemical sift imagingで脂肪の検出が可能であると思われる。
  • 副腎細胞に似た、豊富な細胞内脂肪。壊死や石灰化をしばしば認める。
  • 淡く泡沫状の豊富な細胞質を有する腫瘍細胞が主体であり、血管の豊富な塊で出現している。
  • 一見、副腎皮質腺腫に見える構造を呈している。
  • Leydig 細胞に類似しているが、 Leydig 細胞の有するとされる、Reinke結晶を持たない。
  • 脂肪染色(Oil-red)では細胞質がオレンジ色に染色され、脂肪成分を含んでいることがわかる。
・鑑別疾患へ
・症例提示へ

Moderator : 佐野 美香