症例6 20歳代  女性
診断
腸管嚢胞様気腫 Pneumatosis cystoides intestinalis

腸管嚢胞様気腫
  • 概念
    腸管壁の粘膜下あるいは漿膜下にガスで満たされ
    た嚢胞が多発性に形成される状態
    原発性(15%)と続発性(85%)がある
  • 症候
    下痢、過度の鼓脹、腹痛、下血、便失禁が主症状
    小腸狭窄や腸管捻転を起こすと激しい腹痛、膨満
    感、嘔吐を伴う
  • 基礎疾患がない原発性は大腸に好発するが、続発性の場合は小腸に好発することが多い
  • 続発性の場合は原因として腸管壊死、炎症性腸疾患、ステロイドや免疫抑制剤投与後、SLEなどの膠原病、喘息・気胸・COPDなどの呼吸器疾患、および大腸鏡検査後やPEEP使用中などがある
  • 続発性の場合は門脈気腫
  • 腹部単純X-P:腸管壁に沿った嚢胞状ガス像が連珠状に見られる
  • 注腸:多発性の陰影欠損像
  • CT:腸管の粘膜と漿膜の間に嚢胞状や層状の空気を認める
  • 内視鏡:正常粘膜で覆われた半球状の柔らかい隆起として認められる
  • 腹腔鏡:薄青色調をした球状の気腫が腸間膜付着側に連なりブドウの房状を呈する
  • 治療
    原発性の場合は自然治癒することが多い続発性の場合は基礎疾患の治療と対症療法による保存的治療が中心となる酸素療法も有効性が認められている外科的治療の適応は狭窄、軸捻、穿孔、大量出血などの合併症と激しい症状を頻繁に再発する場合である
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Moderator : 長瀬 雅則