症例7 70歳代 男性
経過

頻度が高いものとして転移性肺腫瘍の可能性を第一に考え、全身検索をするも明らかな原発巣は指摘できず、VATS(右S8)施行。

診断
細気管支肺胞上皮癌(粘液産生性高分化型腺癌)

細気管支肺胞上皮癌
  • 腺癌の一亜型
  • 粘液産生性、粘液非産生性、粘液産生・非産生性混合型に分けられる。
  • 細気管支肺胞上皮置換性の増殖様式(間質や血管、胸膜への浸潤を示さない)
  • 肺胞上皮(粘液分泌する杯細胞、2型肺胞上皮細胞、Clara Cell、線毛細胞)より発生。

RadioGraphics 1997;17:1345-1357

  • 疫学
     全肺癌の1.5%?6.5%(年々増加傾向)
     好発年齢-40歳代?70歳代(他の肺癌と同程度)
     性別-女性30?50%(扁平上皮癌20〜30%)
     喫煙との因果関係は明らかでない。
     扁平上皮癌と予後は同じ程度(術後の再発率はより高い)

細気管支肺胞上皮癌の画像所見

  • 限局性陰影(43%)
     孤立結節影
     斑状影(スリガラス様)
  • びまん性陰影
     浸潤影(30%)
     多発結節影(27%)
  • 空洞を有する結節、スリガラス様陰影、浸潤影の混在が見られることが多い。

RadioGraphics 1997;17:1345-1357
RadioGraphics 2001;21:403-417

結語

  • 多発結節影を呈する細気管支肺胞上皮癌の一例を提示した。
  • 空洞やスリガラス様陰影を伴う多発結節影が見られた時には細気管支肺胞上皮癌は重要な鑑別すべき疾患として挙げられると思われた。
・鑑別診断へ
・症例提示へ

Moderator : 荻野 展広