第303回 東京レントゲンカンファレンス
2008年03月27日開催

症例4 40歳代 男性

画像所見

  • 十二指腸下行脚左側の腫瘤
  • 十二指腸内腔へ突出
  • 多血性腫瘍
  • 内部に壊死や出血、変性を思わせる非造影域
  • 造影剤の血管外漏出像あり
  • 多発性
  • 鑑別診断

【十二指腸粘膜下】

  • GIST
  • 神経内分泌腫瘍
  • 神経原性腫瘍

【膵】

  • 島細胞腫
  • 膵管癌
  • 腺房細胞癌
  • 腺扁平上皮癌

診断:Dx:GIST(gastrointestinal stromal tumor )

消化管 GIST

  • c-kit およびCD34蛋白陽性の消化管間葉系腫瘍
  • 中高年に好発
  • 消化管間葉系腫瘍の80%
  • 発生部位:胃(50-60%)、空腸回腸(20-30%)、十二指腸、大腸、食道(5%)
  • 症状:消化管出血が最多
  • 転移:肝、腹膜 *リンパ節転移はきわめてまれ
  • 治療:外科的切除、イマチニブ

画像診断

  • CT
     多くは境界明瞭
     <6cm:内部均一
     >6cm:壊死/出血を伴いやすい
     まれに石灰化、中心部に空気
     造影増強効果・・様々
  • MRI
     嚢胞変性の描出に有用
     T2WIでの充実性分の著明な高信号
      ・・浮腫や粘液腫様変性を指すことが多い 
  • PET
     肝転移、腹膜播種の診断に有用

神経線維腫症1型(NF1)との関連

  • NF1に消化管平滑筋肉腫が多発することが以前から知られていた
  • 実はGISTであることが判明
  • 特徴
      60%で多発
      20-30%が十二指腸に発生
      胃の病変はまれ 

★Carney triad (多発性胃類上皮平滑筋肉腫、機能性傍神経節腫、肺軟骨腫の合併)の胃病変が実はGISTであることも判明

 

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Moderator:長沼 通郎