第303回 東京レントゲンカンファレンス
2008年03月27日開催

症例7 30歳代 男性

経過
髄液中myelin basic protein(MBP) >2000pg/ml (oligoclonal bandsは陰性)であったこともあり、脱髄性疾患を第一に疑い、入院10日目よりステロイドパルス(メチルプレドニゾロン1g×3日)を施行したが、症状および画像所見は増悪傾向であった。

入院1ヵ月後。
腫瘍の可能性も否定できないため、生検を行うこととなった。
FLAIR矢状断像は撮像されていません。

生検にて『脱髄性疾患』と病理診断された。

診断:Tumefactive demyelinating lesions

  • 腫瘤様脱髄性病変(2cm以上)
  • 若い女性に多い(平均37歳)
  • mass effectやedemaは比較的軽度
  • 不完全なリング状増強効果を示し、皮質側がopenになることが多い(open ring sign, horseshoe shaped)
  • 治療はステロイドに反応がよい
  • MSに進展しないことが多い
  • 腫瘍と判断され、生検or切除されることが多い

    AJR 2004;182:195-199

脳梁下部から放射状(脳室と垂直な方向)に病変を認める(callosal septal interface)と、感度93%、特異度98%で血管障害と鑑別可能。

                 Neuroradiology : THE REQUISITES

本症例

経過
生検後、ステロイドパルスを計3回施行した。徐々に症状/画像所見は改善傾向となり、3ヶ月後、退院した。
失語、右片麻痺は残存するものの徐々に改善傾向。
現在のところ、再発は認めていない。

入院より1年半後

 

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Moderator:木村 有喜男