本例における他の血液検査
・血液塗沫迅速キット:マラリア陽性
・血液塗沫鏡検(ギムザ染色):赤血球内に三日熱マラリア原虫証明(感染率0.8%)
その後の経過
マラリア原虫に対する治療
・マラリア原虫確認直後にクロロキン内服開始
5日で赤血球感染率0%
・その後、プリマキン内服(X14日間)
肝細胞内休眠原虫に対する治療
・腹部CT後に止血剤開始
脾被膜下血腫は次第に縮小
→ 保存的治療のみで軽快退院
マラリアについて
■疫学
・世界で年間3-5億人の罹患と200万人の死亡者
・南アフリカに最も多く、その他、東南アジア、南アジア、南太平洋諸島、中南米にみられる
・旅行者の疾患としての重要性 世界で年間約3万人、日本では年間100例前後の報告例
■病原体
・Plasmodium 属原虫感染症
ヒトに疾患を起こすのは、
熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum )
三日熱マラリア原虫(P. vivax )
四日熱マラリア原虫(P. malariae )
卵形マラリア原虫(P. ovale )
・ハマダラ蚊(雌)が媒介
・潜伏期間:1-4週間、時に数ヶ月から1年以上
■臨床症状
・発熱 96%
・悪寒 96%
・頭痛 79%
・筋肉痛 60%
・肝腫大 33%
・脾腫 28%
・悪心嘔吐 23%
・腹痛・下痢 6%
■検査所見
・血小板減少
・LDH上昇
・総コレステロール低下
・血清アルブミン低下
・貧血は初期にはみられないことが多い
「しばしば、非特異的」
脾自然破裂とマラリア
- マラリアでの脾自然破裂の頻度は報告では2%以下
- 主に感染の急性期、三日熱マラリア感染で生じる
- 脾実質内の小出血、梗塞、うっ血、巣状壊死の状態に加え、嘔吐、屈曲、咳、排便などによる局所の軽度の圧力が脾被膜の緊張をもたらし、脾血腫や脾破裂が生じると考えられている
マラリアの画像診断
- 画像診断に関するまとまった報告は少ない
- 脾腫:急性期患者の大部分
*マラリアの合併症
<Splenic>
脾血腫、脾破裂、脾梗塞、脾膿瘍、脾捻転、
脾機能亢進
<Non-splenic>
脳マラリア(びまん性脳浮腫)、急性腎不全、
重症貧血、肺水腫
参考文献
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- Yagmur Y, et al. Crit Care 2000, 4:309–313
- Ribordy V, et al. Intensive Care Med 2002; 28:996.
- Gockel HR, et al. Infection 2006;34:43-45
- Tufail PF, et al. Radiology 2002;224:811-816
- Ito K, et al. AJR 1997;168:697-702
- Peterson A., et al. Radiographics. 1999;19:1465-1485
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