第306回 東京レントゲンカンファレンス
2008年06月26日開催

症例5 30歳代 男性
 

骨端部病変の鑑別疾患
・Ischemic necrosis of femoral head
・Giant cell tumor
・Chondromyoid fibroma
・Enchondroma
・Anurysmal bone cyst
・Intraosseous ganglion
・LCH
・primary bone sarcoma

 

診断:clear cell chondrosarcoma 明細胞性軟骨肉

 

clear cell chondrosarcoma
●Unniらにより最初に報告された。
●高分化な悪性腫瘍であり、他のchondrosarcomaより予後がよいとされるが、脱分化して予後不良になる事がある。
●Chondrosarcomaの約2%。
●30-40代に最も多い<男:女=2:1>。
●長幹骨骨端に発生する傾向が非常に強い。特に大腿骨頭
●画像所見上はchondroblastomaやGiant cell tumorに類似することが多い。
●緩徐に発育するが遠隔転移も報告されている。

●組織学的に明細胞性の軟骨肉腫は、明るい空胞化した細胞質を持つ、軟骨肉腫よりも、さらに大きく円型の腫瘍細胞を持っている。

 1.軟骨基質
 2.反応性の骨梁
 3.多数の破骨細胞様巨細胞 がこの腫瘍の特徴である。

治療
 通常型軟骨肉腫と比較すると低悪性度であり、活動性は低いものの、掻爬術などでは局所再発が多く、広範切除術が治療法として選択されている。


(×10)

(×20)

(×10)

<Radiography> ー28症例の報告ー
 ○epiphysis 3症例 epimetaphysis 19症例
 ○境界明瞭 9症例 境界不明瞭 9症例
 13症例  sclerotic rimあり
   8症例  点状石灰化 (ring状・弧状の石灰化は少ない)

<CT> 6/10症例 骨基質の石灰化 (CTの方が有用)
    肋骨病変はCTでのみ同定できた。
<MRI> T1WI 低信号 <出血を伴うと高信号>
      T2WI・STIR  高信号 
     不均一な信号を示すことがある(均一なコトもある)。
      腫瘍内にcystic lesionあり (7/14症例)

 

鑑別疾患

 

chondroblastoma

clear cell  
chondrosarcoma

giant cell tumor

好発

5-25 y.o.(95%)
M:F=2:1

30-40y.o.(wide range)
M:F=2:1

20-55 y.o.  M:F=1:2

大きさ
location

2-6cm 
・epiphysis
・epiphysis and metaphysis

比較的大きい
・epiphysisのみのものは稀。
大部分はepimetaphysis

2-20cm(平均5-7cm)
・metaphysis side of growth plate
・meta-epiphysis

Radiorogical

・境界明瞭
・硬化縁を伴う
・stippled calcification
 (40-50%)

・円型 境界明瞭
・硬化縁を伴う
・may contain calcifications

偏心性 境界明瞭 
硬化縁を伴わない
・soap bubble appearance
・No calcified matrix

ABC

T2WI

high〜low

High〜low
(chondroblastomaより高信号?)

low

 

Chondroblastoma と clear cell chondrosarcoma
Achim H.Klaim et.al.
Chondroblastoma and clear cell chondrosarcoma:radiological and MRI characteristics with hitopathological colleration.Skeltal Radiol(2002)31:88-95

 

単純XP

chondroblastoma
・骨幹端病変
・1-5cmが大部分である
・地図状の境界明瞭な骨透亮像を持ち、
  硬化縁を示すことが多い。
・骨皮質を膨張性に菲薄化する。
・点状石灰化は比較的少ない(2/12症例)
・骨膜反応比較的多い(8/12症例)。

clear cell chondrosarcoma
・chondroblastomaと比較し、広範に及ぶ事が多い。 epimetaphysealあるいは近接骨まで及ぶコトもある。
・地図状の骨透亮像。境界不明瞭となることは多くない。
・点状の石灰化ー比較的多い(6/11症例)。
・骨膜反応ー比較的少ない(4/11症例)。
 

MRI

chondroblastoma (12症例)
・T1WI 低信号
・T2WI 低信号と高信号の混在
 内部に嚢胞状の高信号域
 (4/6症例:annurysmal bone cyst
 →CCCSでも同様の所見が見られる事がある)
・造影T1WI
  充実性部分が造影される
     ・不均一 9/12症例
     ・均一   3/12症例
・bone marrow edema (11/12症例)
・骨膜反応 (10/12症例)
・ 周囲軟部組織の反応性変化(7/12症例)

clear cell chondrosrcoma (4症例)
・T2WI 不均一  (低〜高信号)
・T1WI 低信号
・GdT1WI 不均一な造影効果(chondroblastomaより強い?)
・T2WI、T1WIで低信号を示す部位は、石灰化成分が多い。
・骨膜反応、周囲軟部組織の反応性変化(2/4症例)
・chondroblastomaより大きい
 (半数以上が骨幹端におよび、腫瘍中心はepimetaphysisに及ぶ)

chondromyxoid fibroma
・ 好発年齢:20-30代 M:F=1.5:1
・ 通常無症状だが、大きくなると痛み、腫脹、骨破壊を伴う。
・ 膝関節に好発。特に脛骨
・ metaphysis 95%
・ radiolucent lesion 
・ 分葉状、地図状。硬化縁を伴う。
・ 石灰化を1/3に伴う。
・ MRI  T1WI 低信号  T2WI 高信号
・ 増大し、骨外に及ぶこともある。稀に悪性化。
・ 核出術 →再発あり。

*類軟骨ではプロテオグリカン、硝子軟骨より少なく、水を保持しにくい。軟骨芽細胞腫や淡明細胞性軟骨肉腫は類軟骨を主体とするため、T2強調像で比較的低信号になることが多いという報告がある。
*endsteal scalloping(骨皮質内縁の陥凹変形)やrings and arcs calcification(点状あるいは弧状の石灰化)は少ない。

 

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Moderator:須山 淳平