第308回 東京レントゲンカンファレンス
2008年10月16日開催
症例1 20歳代 男性
 
  炎症性偽腫瘍
inflammatory myofibroblastic tumor

画像
胸部X-P
 ■右下肺野から肺門にかけて辺縁整の6cm大の胸部異常影
胸部CT
 ■右S6〜S10にかけて6cm大の境界明瞭な腫瘤影あり
 ■腫瘍がポリープ状に中間幹内腔へ突出も
胸部造影MRI
 ■T1強調にて右S6〜S10にかけて10×6 cm大のひょうたん型の腫瘍
 ■辺縁は比較的整で内部はT1,T2強調においてほぼ均一

鑑別疾患1
塊状肺腫瘍として
■炎症性偽腫瘍 ■肉腫 ■悪性繊維性組織球症 ■気管支腫瘍

内視鏡所見

 

摘出標本






 

病理組織所見
比較的均一な紡錘状細胞が束状に配列して増殖していた。全体的に腫瘍細胞の異型性及び多形性は軽度で、核分裂像も少数であった。狭い間質には形質細胞やリンパ球浸潤を伴っていた。

 

 

免疫染色(1)
vimentin  CD68  SMA    desmin  ALK1

 

免疫染色(2)

α‐SMA 一部で+ vimentin +
Desmin 一部で+ CD68 +
S-100 - CD34 -
EMA - ALK-1 -
cytokeratin -    


Inflammatory myofibroblastic tumor (IMT)

頻度:全肺腫瘍の0.04〜1%
好発:30才以下  
部位: 肺、腸間膜、大網  
症状:無症状
肉眼的特長: 0.8〜36cm、境界明瞭、充実性 気管支内に進展するものは比較的多い
組織学的特長:紡錘形細胞の集積と炎症細胞の浸潤を特徴とする炎症性偽腫瘍の内、
紡錘形細胞が筋線維芽細胞である病変
治療:外科切除がFirst choice、その他ステロイド

 
 

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Moderator:西尾 龍太