第308回 東京レントゲンカンファレンス
2008年10月16日開催
症例5 50歳代 女性
 
  消化管間葉系腫瘍
GIST

所見まとめ
・50歳代、女性。下血。
・子宮右後面に接する充実性腫瘤。
・境界明瞭、辺縁平滑。6cm大。
・ T2WIで淡い高信号。
・出血性成分を含有。脂肪・石灰化なし。
・右正常卵巣は同定されない?
・周囲に腫大リンパ節なし。
・ 回腸動静脈の関与が示唆される。

鑑別診断
■小腸GISTが最も考えやすい。

■鑑別としては、
 小腸由来・・・その他の間葉系腫瘍、カルチノイド、小腸癌、悪性リンパ腫など

■さらに小腸以外では、
 付属器由来・・・卵巣癌(+播種)、卵管癌、悪性リンパ腫、硬化性間質腫瘍など
 子宮由来・・・変性した漿膜下筋腫あるいは肉腫
 その他・・・神経原性腫瘍、結腸直腸癌、転移性腫瘍、MFH、脂肪肉腫、etc.


 

回腸部分切除材料(5cm長)
・肉眼所見

 回腸漿膜側の6.5×5×5.5cm大の腫瘍。
 割面は灰白色調で出血や壊死を伴う。

・組織所見
 腫瘍細胞は短紡錘形で、索状に配列しながら充実性に増殖。
 免疫染色にて、c-kit(+)、 CD34(+)、Desmin(-)、S-100(-)。
 回腸固有筋層に連続。粘膜内への浸潤なし。
 周囲は薄い線維組織に覆われるが、
  一部漿膜面に露出しているように見える部分がある。
  核分裂像は1/10HPF以下。
 
 →中間リスクのGIST。

 

最終診断 小腸GIST

 
 

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Moderator:竹口 隆也