第310回 東京レントゲンカンファレンス
2009年1月22日開催
症例3 20歳代 女性
 
 

骨化性筋炎
myositis ossificans

 
病理
 

Myositis ossificans
・比較的若年者の筋・腱・靭帯などに骨化をきたす良性の腫瘍類似疾患
・外傷後などに起こることがある
・肘・大腿・股関節周囲などに好発
・急性期・・・周囲に浮腫を伴う軟部腫瘤
 亜急性期(2-6w)・・・内部に骨化巣出現
 6-8wで骨化巣は病変の辺縁優位に明瞭化
   → zoning phenomenon

画像診断
・診断には単純撮影とCTが適している →MRI所見は悪性腫瘍に類似する
・zoning phenomenon(辺縁優位の石灰化)
・T1WIで筋肉と比し低~等信号、T2WIでは周囲に浮腫性変化を伴った高信号
・強い造影効果

鑑別疾患
・extraskeletal osteosarcoma →石灰化様式の違いで鑑別
・sarcoma→zoning phenomenonが出現する前の段階では鑑別が困難なことが多い
・neurogenic tumor
→MRIのみでは所見が類似することがある
                            etc...

石灰化について
軟部腫瘤の石灰化では、比較的特徴的なものがいくつか存在する。
・血管腫:静脈石
静脈石は円形、楕円形の平滑な石灰化で中心部に透亮像を伴う場合もある。
・骨外性骨肉腫:象牙様石灰化
象牙様石灰化とは比較的均一でびまん性に観察されるもの。
・化骨性筋炎:zoning phenomenon
ゾーン現象とは、急性期には石灰化が認められないか、あっても規則性がなく、亜急性期で腫瘤辺縁部に石灰化が認められ周囲組織との境界が石灰化によって明瞭になる所見を言う。

 
 

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Moderator:松波 環