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第314回東京レントゲンカンファレンス
2009年6月25日
症例8 50歳代 女性
   

悪性リンパ腫(卵巣)
malignant lymphoma of the ovary(Diffuse large B-cell)



骨盤MRI
T2WI
 
T2WI
 
DWI   Gd T1WIFS  
   

画像所見のまとめ
・下腹部〜骨盤を占める充実性成分に富む腫瘤
  T2やや短縮〜延長、不均一に増強、拡散低下
  腫瘤辺縁部分に正常卵胞と思われる小嚢胞
  傍大動脈リンパ節腫大

・多量の腹水貯留

追加検査
・sIL-2 R   12984 U/ml
・腹水穿刺  Class V 
・腹水cell block採取



腹水 cell block
H.E.(弱拡)/H.E.(強拡)/CD20

卵巣の悪性リンパ腫 Malignant lymphoma of the ovary
・頻度は稀
  卵巣腫瘍、悪性リンパ腫の各々1%未満*
   *リンパ腫の二次性卵巣浸潤は除く。卵巣原発の悪性リンパ腫は、他のリンパ腫に比べて予後良好。
・若年者〜高齢者まで発症
殆どがB細胞型
   Burkitt型が最も多く、びまん性大細胞型がこれに次ぐ
・ 卵巣癌が疑われ、開腹術後に確診されることもしばしば
   卵巣癌と悪性リンパ腫の治療方針は異なり、早期診断が重要

画像所見
・主として充実性成分から成る
T2強調像で比較的低信号
   細胞外液が少ない
拡散低下
   細胞密度が高い
・病変辺縁部に正常卵胞が温存されている
   正常構造を保ったまま発育する

本症例は、卵巣悪性リンパ腫に典型的な画像所見であった。

鑑別診断
・未分化胚細胞腫
   若年者発症
   腫瘤内部の線維血管隔壁
   T2強調像で比較的高信号

本症例で除外することは可能

本症例の経過    
 
治療前   化学療法後(R-CHOP 1クール)

 

まとめ
・卵巣の悪性リンパ腫は、他の卵巣悪性腫瘍と治療方針が異なり、早期診断が重要。
  画像診断の果たす役割は大きい

  卵巣悪性リンパ腫の特徴的な画像所見
   ・T2強調像で比較的低信号の充実性腫瘤
   ・辺縁に正常卵胞が温存

 

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Moderator: 牛島 泰宏