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第317回東京レントゲンカンファレンス
2009年11月26日
症例8 70歳代 男性
   

肝細胞癌
hepatocellular carcinoma

 


当院外科にて肝右葉切除術を行った。
診断は、Moderately differentiated hepatocellular carcinoma

繊維性被膜を有し、肝細胞の脂肪化、出血を認めた。
周囲に散布像、門脈分枝にも浸潤を認めた。

 


今回、脂肪を含む肝の腫瘤性病変として鑑別を行った。
Macroscopicな脂肪を含む疾患として
・肝細胞癌(HCC)
・血管筋脂肪腫(Angiomyolipoma)
・奇形腫(Teratoma)
・脂肪肉腫(Liposarcoma)
・Adenoma
・Hepatic adrenal rest tumor
・Meta             などが挙げられる。

1.被膜を認める病変はHCCとadenoma
   adenomaは年齢から否定的
2.脂肪そのものの造影効果からの鑑別として、造影効果が強いのはALM、比較的低いのはHCCと報告されている。
3.被膜を超えた病変があることは、悪性の病変を考える。
4.AMLでは肝静脈の早期描出があると報告されている。

・脂肪の造影効果は
 強くないように見える。
・被膜がある様に見える。 ・被膜外の病変、
  娘結節があるように見える。
 
・静脈の早期描出が見られない。

 

・脂肪の造影効果は強くないように見える。
・被膜がある様に見える。
・被膜外の病変、娘結節があるように見える。
・静脈の早期描出が見られない。
典型的な脂肪を含むHCCであった。

 

AML HCC
・ともに脂肪を含む病変である。AMLは結節性硬化症に合併することが知られている。
 この疾患に発生する腎のAMLは20%、肝臓のAMLは6%と報告されている。
・頻度的にはHCCが圧倒的に多い。AMLは本邦では08年まで13例報告されている。
 大部分が単発性であった。
・脂肪を含む腫瘍は鑑別が難しいが、詳細に読影すれば、
 鑑別に有用な所見を拾い上げることができ、鑑別が可能である。

 

 

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Moderator: 細川 崇洋