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第319回東京レントゲンカンファレンス
2010年2月25日
症例8 60歳代 男性
   

デスモイド腫瘍
desmoid tumor

 



画像所見のまとめ
・残胃と膵体部の間に位置する境界明瞭な類円形の腫瘤
・均一な造影効果
・T2WIにて軽度高信号、T1WIにて低信号、DWIにて拡散低下

消化管
CEA  

1.3ng/ml

 

1.2ng/ml

 

1.5ng/ml

CA19-9

 

19.2U/ml

 

29.6U/ml

 

21.3U/ml

 

手術所見
・残胃後面と膵体部前面に挟まれるように手拳大の表面平滑な固い腫瘤
・胃とは容易に剥離可能だが膵前面とは強固に癒着
・脾動脈は腫瘍に巻き込まれるように走行していたため合併切除

病理所見
・細胞密度の低い紡錘形細胞からなる腫瘍で、膠原線維の増生を伴う
・myxoidな浮腫性変化あり
・辺縁で膵組織あり→膵をまき込んでの増殖
・異型細胞増生なし

・Vimentin,平滑筋アクチン:陽性
・CD-34,c-kit,S100蛋白,デスミン:陰性

Desmoidについて
●発生部位
腹壁
腹壁外
腹腔内
 ・
intra-abdominal desmoid
 ・
intraabdominal fibromatosis
●腹腔内デスモイドはデスモイド全体の8%と稀

●腹腔内デスモイド
男女比 6 : 4
平均年齢44±16歳
発生部位は小腸間膜が最も多い(72%)
発症リスクとして外傷、手術、エストロゲン
 ・10-45%に腹部手術の既往
APC遺伝子変異の関与
 ・Gardner症候群の10%程度に合併
治療は外科的切除、薬物療法
完全切除後も再発率は高い(20%程度)
 ・特にGardner症候群では癌につぐ死因となる

●画像所見
特異的な所見は乏しい
 ・T1WIにて低信号、T2WIの信号はfibroblastやcollagen fiber, myxoid changeなどの割合によって様々
 ・造影効果は軽度のことが多い
鑑別
 ・GIST
 ・SFT
 ・Inflammatory pseudotumor 
 ・lymphoma
 ・metastasis


 
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Moderator: 高田 直美