Sjögren症候群に合併した肺MALTリンパ腫 |
画像まとめ
・両側肺野、特に上葉で目立つ気管支拡張
・両側下葉に淡い濃度上昇
・舌区、下葉底部に不規則な浸潤影
・肺底部気管支壁の軽度肥厚
・散在性にcavity形成
・末梢側はややspareされている
鑑別 | ||
・ランゲルハンス細胞肉芽腫症 |
腫瘍 | |
etc… |
既往詳細
・30年ほど前にSjögren症候群の診断
・既往に肺病変なし
・検診にて肺異常影を指摘、CTで多発嚢胞性病変があり、当院にVATS目的で紹介受診
・ステロイド治療は今まで施行されず
→ Sjögren症候群および合併する肺病変を疑いVATS施行
ヘンリック シェグレン【Henrik Samuel Conrad Sjögren】(1899-1986 スウェーデン)
胸腔鏡下右肺上中葉部分切除術が施行され、確定診断。 診断後はR-CHOPにて著明に改善。
病理
・かなり濃密なリンパ形質細胞浸潤
・リンパ上皮性変化が目立つ
・核内封入体(Dutcher body)あり → MALT Lymphoma
診断後はR-CHOP施行、著明に改善
・スリガラス部分には淡い集積が、濃い浸潤影部分には強い集積が見られる。
・上咽頭腫大、口蓋扁桃?、両側耳下腺腫瘤、両側頸部・縦隔・両側肺門部・傍大動脈リンパ節への集積が見られ、病変と思われる。
・甲状腺は慢性甲状腺炎が疑われるものの、病変の一部かも。
・加療後は、スリガラスの消失があり、FDG-PETにおいても集積がほぼ消失している。
|
疫学
・1933年にスウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレンの発表した論文にちなんで、名前がつけられた疾患。
・男女比 1:9
中年女性に好発
外分泌腺へのリンパ球浸潤を特徴し、緩徐に進行する慢性の自己免疫疾患
−1/3は全身症状を呈する
−他の自己免疫疾患に合併してみられることもある(二次性Sjögren症候群)
・ウイルス感染などで唾液腺上皮細胞の活性化が起こり、自己抗原が提示され、T 細胞→B 細胞が活性化され、腺細胞や導管細胞の破壊される
・Sjögren症候群に合併する肺・胸膜疾患は約1割
−通常は間質性肺炎
−大部分は無症状
・Sjögren症候群に合併する肺嚢胞はチェックバルブ機構やサイトカインによる肺組織の破壊などが言われている
・悪性リンパ腫
−通常、Sjögren症候群の末期に約5%が合併
−多くは節外性で悪性度は低い
−発症リスクは40倍以上
−肺原発の悪性リンパ腫の大部分は低悪性度のB細胞性であり、MALTリンパ腫と呼ばれる
Take Home Points
Sjögren症候群では肺MALTリンパ腫を合併することがあって、疑われた場合にはVATSで速やかに診断されるのが望ましい
≪≪症例提示へ戻る |