正中弓状靭帯症候群、仮性動脈瘤破裂/分節性動脈中膜融解 median arcuate ligament syndrome, rapture of aneurysm/segmental arterial mediolysis SAM |
▼ 造影CT(動脈相) |
▼ 造影CT(平衡相) |
▼ 造影CT(MPR) | ▼ 血管造影(腹腔動脈) | |
腹腔動脈起始部の狭窄 | 腹腔動脈起始部の狭窄 |
▼ 血管造影(上腸間膜動脈) |
Q1. 初回CT、初回血管造影の診断は?
・正中弓状靭帯症候群
・膵頭部の動脈瘤破裂
⇒Isolation法
▼ 3週間後の血管造影 |
▼ 3週間後の血管造影(腎動脈) | ||
Q2. 2回目血管造影の所見は? (初回の診断との関連はあるか?)
・所見 限局した血管の数珠状拡張、狭窄
・診断 SAM(segmental arterial mediolysis)
▼ 3ヶ月後CTA | ||
・明らかな動脈瘤を認めず ・明らかなSAMの所見を認めず (描出不能or消失) |
正中弓状靭帯症候群Median arcuate ligament syndrome(MALS)【定義】正中弓状靱帯による腹腔動脈起始部の慢性狭窄で腹部angina症状を認める病態
【動脈瘤の合併】SMAから膵頭部アーケードを介する血流増大や動脈壁の脆弱性により動脈瘤が発生しやすい
SAM(segmental arterial mediolysis)
【病態】 | 筋性動脈の分節状中膜融解 解離性動脈瘤を形成、破裂する疾患 |
|
【疫学】 | 基礎疾患なし、比較的中高年、男女比なし | |
【成因】 | 不明 | カテコラミンなどの血管作動物質による血管攣縮、虚血線維筋性異形成(FMD)の前駆病変/一亜型 膠原病(SLE、結節性多発血管炎)などの免疫異常 |
【鑑別】 | 線維筋性異形成 先天性血管形成異常 |
【病理組織学的特徴】 | ・腹部内臓動脈の中膜に空砲形成・融解 ・外膜が拡張し、内膜が破綻、動脈瘤を形成 ・壁内炎症所見、粥状硬化所見がない |
【病理組織学的検査所見がなくても診断しうる】 | ➀中高年者 ➁炎症性変化・動脈硬化性変化などの基礎疾患がないこと ➂突然の腹腔内出血で発症 ➃血管造影検査にて血管の数珠状の不整な拡張と狭窄 |
|
Maren:AJR 2006 Uchiyama:IVR,2005 |
【特徴】 | ・動脈瘤が同一の血管に多発 (27〜35%) ・自然経過で動脈瘤の消失例 中膜融解部が修復治癒 |
【注意点】 | ・多発動脈瘤を念頭に入れて経過観察が必要 動脈瘤があれば塞栓術が望ましい 動脈瘤がなければ予防的な動脈塞栓術は施行しなくてよい |
MALSとSAMの合併例・文献での報告例は1例のみ
SAMによる動脈瘤として報告
MALSとSAMの関連は不明
・IVR後に発症/顕在化したSAMの報告はない
T Saito:日腹部救急医会誌,2009
≪≪症例提示へ戻る |