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第329回東京レントゲンカンファレンス
2011年6月23日
症例8 30歳代 女性
    アレルギー性紫斑病
Schönlein-henoch purpura


 

キー画像

 

画像所見 ・十二指腸、小腸、結腸の層状壁肥厚(十二指腸・近位空腸に優位な分布)
・単純CT:十二指腸や小腸壁の淡い高吸収域→ 粘膜下出血か?
・腸管壁の造影効果は保たれている。
・中等量腹水

鑑別疾患・感染性腸炎
・炎症性腸疾患
・アレルギー性紫斑病
・ループス腸炎
・好酸球性腸炎
・HAE(遺伝性血管性浮腫)

確認すべき臨床情報は?

 
上部消化管内視鏡

 

アレルギー性紫斑病のまとめ・小児に好発、成人にも5〜30%発症
・皮膚症状は100%、消化器症状は70〜85%、腎障害は20〜60%、関節症状は50〜60% まれに痙攣発作や頭蓋内出血
・腹痛が皮膚症状に先行する事が10〜20%あり
・白血球破壊性血管炎(leukocytoclastic vasculitis)を伴い、血管透過性の亢進により浸出と出血をきたす。
・細菌やウイルス感染、食物、薬剤など種々の外来抗原物質に対する免疫学的な反応亢進に対する IgA 免疫複合体が全身の細小血管に沈着

アレルギー性紫斑病の消化器病変・上腹部痛、悪心・嘔吐、下痢、下血
・十二指腸を含む小腸が100%、大腸90%、胃60%、食道5%
・内視鏡ではびまん性発赤、浮腫、出血性びらん、不整形潰瘍がみられ、紫斑様の病変は特徴的

アレルギー性紫斑病のCT所見・胃〜結腸の全腸管に skip 状の層状の壁肥厚 ─特に十二指腸や近位空腸優位
・腸管膜の浮腫や腸管膜血管のうっ血
・壁内血腫による単純CTでの壁の高吸収がみられることあり

 

 

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Moderator:鈴木 卓也