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第333回東京レントゲンカンファレンス
2012年1月26日
症例1 70歳代 女性 : 頚部痛、発熱
    crowned dens 症候群
crowned dens syndrome

 

鑑別診断・リウマチ性多発筋痛症
・髄膜炎
・脊椎椎間板炎
・Crowned dens syndrome

 

Crowned dens syndrome・CDSは臨床症状と画像所見から診断される放射線診断上の疾患名。(1985年にBouvetらが提唱)

臨床症状 発熱・炎症反応上昇、頭痛、項部硬直
画像所見 軸椎歯突起周囲の石灰化
原因 軸椎歯突起周囲のCPPD(ピロリン酸カルシウム)やHA(ハイドロキシアパタイト)の結晶沈着が多いとされる。
年齢 高齢女性に多いとされる
治療 NSAIDs(±ステロイド)。数日で症状は改善。

・環椎横靱帯以外にも様々な部位に石灰化沈着しうる。
・治療経過で石灰化が消失する例もある。
・MRIにてT2延長、骨シンチにて集積亢進を認めた症例。
・三角線維軟骨や半月板に線状石灰化あり。CDS +  軟骨石灰化症

D/Dx  石灰沈着性頚長筋腱炎 
・頚長筋腱の歯突起付着部への石灰化

結語
・CDSは歯突起周囲の石灰化が特徴的。
・頚部痛、発熱を主訴とする症例では脊椎炎や髄膜炎等と共にCDSも鑑別に挙げることが重要と思われる。

参考文献
・Radiol med (2007) 112:195–207
・J Bone Joint Surg Am. 2007;89:2732-6
・J Neurol (2010) 257:132–135 
・Arthritis & Rheumatism (Arthritis Care & Research) Vol. 53, No. 1, February 15, 2005, pp 133–137
・Internal Medicine Vol. 44, No. 2 (February 2005)
・The British Journal of Radiology, June 2009