JCR TOP 東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第333回症例 症例2:呈示 ≫ 症例2:診断と解説
第333回東京レントゲンカンファレンス
2012年1月26日
症例2 10歳代 女性
    未熟奇形腫
Immature teratoma



「腫瘍は大きく、多房性嚢胞構造と充実性構造が混在し著明な増強効果を示す。
  脂肪信号は充実性構造の内部に“まき散らされたように”点在する。」
『婦人科MRIアトラス』(秀潤社)
 

<>

 

Immature teratoma(G2)Ia



CEA 0.7 (5.0ng/mL以下)
AFP 232.2 (10.0ng/mL以下)
CA19-9 22.0 (37.0U/mL以下)
CA125 82.8 (35.0U/mL以下)
SCC 2.7 (1.5mg/mL以下)
CA72-4 9.2 (4U/mL以下)
LDH 162  (106〜211IU/L/37℃)
     

AFP:卵黄嚢腫瘍で高値。未熟奇形腫や胎芽性癌でも上昇。
hCG:絨毛癌に特異的。
LDH:未分化胚細胞腫でしばしば上昇(AFP正常)。
SCC:扁平上皮の悪性転化を伴う成熟嚢胞性奇形腫(扁平上皮癌)で上昇。

 

胚細胞腫瘍の臨床病理学的分類

良性腫瘍

境界悪性腫瘍

悪性腫瘍

成熟嚢胞性奇形腫
成熟充実性奇形腫
卵巣甲状腺腫瘍

未熟奇形腫(G1,G2)
カルチノイド
甲状腺カルチノイド

未分化胚細胞腫
卵黄嚢腫瘍
胎芽性癌(胎児性癌)
多胎芽腫
絨毛癌
悪性転化を伴う成熟嚢胞性奇形腫
未熟奇形腫(G3)
混合型胚細胞腫瘍

(日本婦人科腫瘍学会編 2007年版 卵巣がん治療ガイドラインより 一部抜粋)

未熟奇形腫の再発率 
grade 1=18%
grade 2=37%
grade 3=70%


悪性胚細胞腫瘍


・ 10代から20代の若年層に好発(中央値は約18〜20歳)
・ ほとんどが片側性で、健側卵巣の温存が可能(未分化胚細胞腫では10%程度に両側性発生)
・ 抗癌剤(BEPなど)が驚異的によく効くために現在ではほとんどの人が妊娠、出産の機能を失うことなく治癒するようになった

 

≪≪症例提示へ戻る
Moderator:中村 幹夫