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第 336 回 東京レントゲンカンファレンス[2012年5月24日]
症例1 40歳代 女性 : 右頚部腫瘤
 傍神経節腫
 paraganglioma

 

 傍神経節腫(paraganglioma)

・傍神経節のクロム親和性細胞由来の腫瘍
・交感・副交感神経走行部に発生
・副腎髄質に発生したもの → 褐色細胞腫    paraganglioma ≒ 副腎外褐色細胞腫
・家族性、多発性、再発・転移、浸潤性も

 

 paragangliomaの画像的特徴

・きわめて血管に富む腫瘍
 早期濃染→wash-outも早いため、遅延性濃染腫瘍と区別が困難
・MRIではT1WI等信号、T2WI高信号が基本
 腫瘍が大きくなると、”salt and pepper appearance” (出血がT1WI high、flow voidがT2WIでlow)
・頸動静脈の特徴的な偏位
 頸動脈小体由来paraganglioma → 内外頸動脈の開大
 迷走神経由来paraganglioma → 内頸動脈を内腹側、内頸静脈を外側に圧排

 

 鑑別診断

・神経原性腫瘍:傍神経節腫、神経鞘腫、神経線維腫、悪性末梢神経鞘腫瘍
・リンパ節病変:悪性リンパ腫、Castleman病、リンパ節転移
・唾液腺腫瘍:耳下腺腫瘍、小唾液腺腫瘍

神経鞘腫、神経線維腫にしてはFDG 集積が高すぎる。T2強調画像の信号も典型的でない。悪性末梢神経鞘腫瘍は、FDG集積高値は合致する可能性があるが、緩徐な経過と多血性な点が合わない。
FDG集積程度に関してはリンパ腫とCastleman病はあり得る。またCastleman病では多血性な点も合致するが、どちらも不均一なT2WIが典型的ではない。撮像内に原発と思われる所見はない。
頸動静脈の偏位方向から頸動脈間隙由来の腫瘍と判断すると、唾液腺腫瘍は考えにくい。

 

最終診断:傍神経節腫(paraganglioma)

 

 Take Home Point

・FDG高集積、後期相で集積増加 → 悪性腫瘍だけではない。
・頸動脈間隙由来の腫瘍と、頸動静脈の偏位パターンを理解する。

 

参考文献
1.Fron the Archives of the AFIP – Paragangliomas of the Head and Neck: Radiologic-Pathologic Correlation. RadioGraphics 1999; 19: 1605-1632
 ★頸部paragangliomaについてのまとめ。
2.Extraadrenal Paragangliomas of the Body: Imaging Features. AJR 2006; 187: 492-504
 ★いろいろな部位のparagangliomaの画像が多く掲載されている。
3.Pictorial Essay – Imaging of Parapharyngeal Space Lesions: Focus on the Prestyloid Compartment. AJR 2001; 177: 1465-1470
 ★傍咽頭間隙、頸動脈間隙病変の鑑別。
4.18F-FDG Avidity of Pheochromocytomas and Paragangliomas: A New Molecular Imaging Signature? J Nucl Med 2009; 50: 711-717
 ★pheochromocytoma/paragangliomaのFDG集積。


 

 

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