血管平滑筋腫 angioleiomyoma |
臨床経過 |
・3年前より徐々に圧痛・安静時痛を自覚し増悪傾向を認めた。 ・身体所見:弾性軟の可動性のない腫瘤で軽度の圧痛あり。 潰瘍形成なし。 ・他院での穿刺吸引では血液様液体が少量のみ。 |
Key Image |
・病変の主座は皮膚or皮下脂肪織内、T2WIで内部は比較的均一な高信号 ・辺縁部にT1/T2WIで低信号を示す被膜様構造 ・強い均一な造影効果を示し、周囲血管の拡張・増生を伴う |
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T2 WI | CE-FS T1 WI |
鑑別診断:四肢皮膚〜皮下を主座とする軟部腫瘤 |
Lesions of Epidermis |
Lesions of Dermis |
病理所見 |
被膜を持ち、拡張した血管腔が多い組織で軽度の細胞密度上昇を伴う(B)。
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最終診断:血管平滑筋腫 Angioleiomyoma (cavernous type)
血管平滑筋腫 |
・血管平滑筋(小血管中膜)由来の緩徐に発育する良性腫瘍
・40〜50歳代の女性に多い(M:F = 2:3)
・50%以上は下肢に生じる。下肢>上肢>>頭頸部>体幹部(女性では下肢、男性では上肢に生じやすいとされる)
・良性軟部腫瘤の約5%、通常は単発性、2cm以下
・約7割の症例で自発痛または圧痛がみられる 腫瘍内平滑筋線維の攣縮による血流障害が原因と考えられている
・悪性転化(superficial leiomyosarcoma)は非常にまれ
【分類】
1.Solid type:3型のうち一番頻度が高く女性に多い。毛細血管と平滑筋線維が密集し、血管構造は不明瞭。
最も疼痛を伴いやすい。
2.Cavernous type:最も頻度が低く男性に多い。血管拡張を伴う。
3.Venous type:男性で多くみられ、腫瘤内部の血管は壁が厚い
【画像所見】
・T1WI:筋と等信号〜低信号。T2WI:比較的均一な高信号。
・辺縁にT2WI低信号の被膜様構造を示し(C:矢印)、周囲に拡張した血管構造が目立つ(D:矢頭)。
・造影MRI:組織型によるが、概ね強い増強効果を示す。
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主な鑑別診断および鑑別点 |
Neurinoma:
・病変周囲に拡張蛇行血管がない
・造影効果は一般的に弱く遷延性である
Giant cell tumor of soft part:
・T2WIで筋と等〜低信号のことが多い(線維化を反映)
・T2WIで円弧状の低信号領域(ヘモジデリン沈着)
・腱鞘と関連が強く分葉状の形態
参考文献
・Blacksin MF, Ha DH, Hameed M, Aisner S. Superficial soft tissue masses of the extremities.
・RadioGraphics 2006, 26:1289 –1304
・Angioleiomyoma in Soft Tissue of Extremities: MRI Findings AJR 2009, 192(6) W291-W294
・Morimoto N. Angiomyoma. A clinicopathologic study. Med J Kagoshima Univ 1973; 24: 663–83.
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