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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第338回症例症例:呈示
第 338 回 東京レントゲンカンファレンス[2012年9月27日]
症例4 30歳代 男性 
 肺クリプトコッカス症
 pulmonary cryptococcosis


 画像所見

・左肺下葉に多発する結節、不整形〜融合性
・周囲に線状影やすりガラス影を伴う
・胸膜近傍の病変が多い
・空洞形成なし
・石灰化なし

経過
・「○○を念頭に精査を」と報告
・翌日、改めて当院呼吸器内科に紹介受診 ⇒ 血清クリプトコッカス抗原陽性

診断:肺クリプトコッカス症(Pulmonary cryptococcosis)

その後の経過
・HIV などの基礎疾患なし
・髄液中クリプトコッカス抗原は陰性
・FLCZ 400mg/day 内服を12週継続、病変は改善

 

 肺クリプトコッカス症

・広く土壌に生息する酵母型真菌
・代表的な日和見感染症であるが、しばしば健常人にも発症する
・免疫低下患者では発熱や胸痛などの症状を有し、肺外病変を合併することが多い
・健常人では無症状/検診発見例も少なくない
・確定診断は菌の分離培養か菌体の証明
・血清クリプトコッカス抗原価は感度・特異度とも高く、抗原陽性で画像所見が合致すれば臨床的に診断しうる
・免疫状態にかかわらず播種の可能性があり、皮膚結節や髄膜炎、脳炎を呈することがある
・髄液検査が必要

クリプトコッカス症の治療
HIV 髄膜炎 治療 期間
(−) (−) FLCZ 200〜400mg/日 3〜6か月
(−) (+) L-Amp-B 2.5〜6.0mg/kg/日
FLCZ 200〜400mg/日
2週間 10週以上
(+) (±) L-Amp-B 4.0mg/kg/日
FLCZ 200〜400mg/日
2週間 継続

 

 画像所見

・単発性または多発性の結節・腫瘤影
同一肺葉内に多発する分布が特徴的
・下葉に多く、胸膜近傍に多い
・しばしばいびつな形状を示し、周囲に線状影やすりガラス影を伴うこともある
・空洞形成は約40%
・石灰化は稀
・免疫正常者の病変は限局していることが多い
・肺炎様のコンソリデーションは基礎疾患を有する患者に多いが、健常人にもみられる
・免疫低下患者では広範なすりガラス影や粟粒結節、肺門・縦隔リンパ節腫大を呈することがある


 鑑別診断

腫瘍:多発肺転移、悪性リンパ腫
感染症:結核、非結核性抗酸菌症、その他の真菌症
その他:Wegener肉芽腫、リウマチ結節、塵肺、サルコイドーシス、アミロイドーシス、敗血症性肺塞栓症、器質化肺炎など

参考症例(当院、40代女性)

 

 結語

無症状で同一肺葉に多発する結節を見たら、クリプトコッカス症を疑う。

 


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Moderator: 大倉 直樹