下垂体過形成(橋本病による) pituitary hyperplasia secondary to Hashimoto's disease |
画像所見のまとめ |
・トルコ鞍内から鞍上部に突出する腫瘤
・内部信号および造影増強効果は均一で嚢胞成分は認めない
・下垂体柄の偏位は認めない
・下垂体後葉のT1WI高信号は保たれている
→おそらく下垂体前葉の腫大と思われる
鑑別診断 |
・下垂体過形成
・下垂体腺腫
・リンパ球性下垂体炎
・頭蓋咽頭腫(エナメル上皮型)
下垂体過形成と腺腫 |
・小児の下垂体は6mmが正常上限
・両者の鑑別は一般的に難しい
・下垂体腺腫では下垂体柄の偏位や左右差、不均一な造影効果が見られることがある
・下垂体過形成の原因
─甲状腺機能低下症
─アジソン病
小児の下垂体腺腫(手術例)
・中学・高校生に多く、プロラクチノーマが多い
・11歳以下ではACTH産生腺腫が多い
・非機能性下垂体腺腫は小児では稀
検査所見 |
Free T3 | 1.8 pg/mL(2.2-4.2) |
Free T4 | 0.18 ng/dL(0.7-1.8) |
TSH | 1497.03 μIU/mL(0.3-4.3) |
プロラクチン | 130.92 ng/mL(1.2-12) |
GH | 16.6 ng/mL(0.28-1.64) |
ACTH | 16.3 pg/mL (7.2-63.3) |
FSH | 6.27 mIU/mL |
甲状腺機能低下症
抗サイログロブリン抗体 ↑
抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体 ↑
原因として橋本病
甲状腺ホルモン補充療法 | |
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診断
下垂体過形成 : pituitary hyperplasia
(原因として橋本病による甲状腺機能低下症)
甲状腺機能低下症による下垂体過形成 |
・甲状腺機能低下症の25-81%にみられる
・特にTSH 50 μIU/mL以上の症例では高率(70%)
・治療は甲状腺ホルモン補充療法が奏効
・投与後1〜4ヶ月で下垂体の腫大は改善
参考文献
・The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 1994, 79(4): 1135-1140
・Endocrine Reviews 1996,17(6):610-638
・Endocrine practice 2006,12(1):29-34
・J Clin Endocrinol Metabol 1983,57:283–287
・J Neurosurg 2005, 102: 413–416
・Pediatric Radiology 2009, 39(2):164-167
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