casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第339回症例症例:呈示
第 339 回 東京レントゲンカンファレンス[2012年10月25日]
症例1 0歳代 男児 
遊走脾、脾臓捻転
wanderring spleen,splenic torsion


CT比較(入院時/3日目)
経過
脾臓の位置が異なる

初回 CT(入院時)
経過
血管・膵尾部に渦巻状の所見

 

解答 遊走脾(Wandering spleen)+脾捻転(Splenic torsion)

 

造影 CT 冠状断
経過
脾実質に造影増強効果を認めない

US (Power Doppler)
経過

 


 画像所見のまとめ

・正常位置に脾臓を認めない
・血管や脂肪織が渦巻状に脾門部にみられる → Whirled appearance  膵尾部が巻き込まれることもある
・脾臓に造影増強効果を認めない → 脾捻転・脾梗塞
・USではPower Dopplerにて血流信号の欠損


経過

 

 

 

 遊走脾 Wandering spleen

脾臓を固定する間膜
胃脾間膜最も重要
脾腎間膜
脾結腸間膜
これらの形成不全・過長により過度の可動性が生じる

・性差:女性に多い
・年齢:40歳未満が80%以上 → そのうち10歳未満が30%程

小児期と30〜40歳台の二峰性の分布

小児期においては 乳児期では男児、1歳以上では女児に多い

・原因:
 先天性因子;支持組織(間膜)の欠損・形成不全
 後天性因子;妊娠、外傷、脾腫による支持組織の脆弱化
・診断:CT・US等にて脾臓の位置の変化 → 検査毎に脾臓の位置が変わることあり
・臨床症状:基本的には無症状、脾腫を伴う場合は腫瘤触知 → 捻転を起こせば症状が出現

 

 脾捻転 Splenic torsion

・症状:腹痛、嘔吐、発熱 etc → 急性腹症
 軽度の捻転ではうっ血に伴う腹痛
 高度の捻転では脾梗塞に至る
・鑑別:イレウス等の急性腹症を呈する疾患
・合併症: 脾壊死、膿瘍形成、胃食道静脈瘤、急性膵炎、膵壊死 etc

・治療:
 遊走脾 → 固定術(メッシュ法や後腹膜固定)
 脾捻転・梗塞 → 脾臓摘出術(開腹・腹腔鏡下)
・小児の場合:3〜4歳以下の小児は脾臓摘出を行うことにより液性免疫能低下に伴う敗血症が危惧される


 

 まとめ

遊走脾
・正常位置に脾臓を認めない
・検査毎に位置が異なる
・診断確定には複数回の検査が必要

遊走脾を認めた場合は脾捻転を念頭に置く
・Whirled appearance
・造影検査では脾臓の造影増強効果の欠如
・USではカラードプラ上、血流信号の消失



参考文献
・Liu HT, et al. AJR , 188 :W328 ~ 330 , 2007
・Brown CV, et al. J Pediatr Surg , 38 :1676 ~ 1679 , 2003
・Fujiwara T, et al. J Comput Assist Tomogr , 19 :84 ~ 86 , 1995
・Ben Ely A, et al. Clin Radiol , 61 :954 ~ 958 , 2006
・Takayasu H, et al. Surg Today , 36 :1094 ~ 1097 , 2006
・Herman TE, et al. AJR , 156 :151 ~ 153, 1991
・Rodkey ML, et al. Clin Pediatr (Phila) 31 :289 ~ 294, 1992
・Thompson JS, et al. Clin Pediatr (Phila) 19 :221 ~ 224, 1980


◀ 症例提示へ戻る 画像をまとめて見る…PDF
Moderator: 倉田 直樹