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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第341回症例症例:呈示
第 341 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年1月24日]
症例8 30歳代 男性
CLIPPERS
( chronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids)

 

 鑑別

・血管炎(ベーチェット病、膠原病など)
・リンパ腫様肉芽腫症LYG(lymphomatoid granulomatosis)
・悪性リンパ腫

 

細胞診
血管周囲と脳実質に軽度のリンパ球浸潤→非特異的で確定診断には至らず。
  少なくとも、先ほど挙げた鑑別疾患を示唆する所見も認めない。

 

 経過

 

 CLIPPERS syndrome

chronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids

・ステロイド投与にて軽快する脳炎
・造影MRIで脳幹優位、特に橋全体に点状の造影スポットが広がる

・最近提唱された概念。症例報告が散見される程度だが、本当は比較的頻度が高いのでは、との説もある
・病因は不明
・病理で血管周囲へのリンパ球浸潤
・免疫療法に反応性 → 自己免疫性疾患の可能性が高いと思われる

画像
・T2WI, FLAIR高信号、拡散能低下を来し、造影効果を有する点状の病変が
・脳幹や小脳他、脊髄(特に頸髄)、基底核や大脳深部白質に広がっている。
・特に橋〜小脳脚全体に点状病変が多発しているのが特徴的。

鑑別
・血管炎(ベーチェット病、膠原病など)
・リンパ腫様肉芽腫症LYG(lymphomatoid granulomatosis)
・悪性リンパ腫

診断
・確定診断は組織診
・ただし、病変の生検は難しく、画像と経過、除外診断で可能ではとの見解もある。

治療
ステロイドによく反応するが、ステロイド減量により再発することもある
非可逆的な損傷の程度は、治療開始時期が影響する
早期診断で治療効果が変わる
比較的特徴的な画像所見を呈する → 鑑別の一つとしてCLIPPERSを挙げることは可能であり、また重要と考える



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Moderator: 浅田 久美子