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第 344 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年5月23日]
症例1 10歳代 女性 : 左顔面神経麻痺・難聴
内リンパ嚢腫瘍及び傍神経節腫を合併したvon Hippel-Lindau 病
von Hippel-Lindau disease associated with endolymphatic sac tumour and paraganglioma

 

内リンパ嚢腫瘍 褐色細胞腫/傍神経節腫→von Hippel-Lindau 病疑い

 von Hippel-Lindau 病

・VHL 遺伝子の変異
・常染色体優性遺伝
・20%に散発例
・頻度:1/31,000-53,000
・40 領域、14 臓器での病気が知られている
 ーPancreatic cyst 50-91%
 ーCraniospinal hemangioblastomas 60-80%
 ーRenal cysts 59-63%
 ーRetinal hemangioblastomas 45-59%
 ーRenal cell carcinoma 24-45%
 ーPheochromocytomas 10-20%(30%は無症候性)
 ーPancreatic neuroendocrine tumor 5-17%
 ーSerous cystadenoma of the pancreas 12%
 ーEndolymphatic sac tumors 10-15%
 ーPapillary cystadenoma of the epididymis 10-60% *


診断方法

【臨床診断】
・散発例の場合は以下のいずれか
 ー2 つ以上の網膜または中枢神経の血管芽腫の存在
 ー網膜または中枢神経の血管芽腫の他に腫瘍性病変が存在
・家族歴がある場合
 ーVHL に関連する一病変が存在

【遺伝学的診断】
・VHL 遺伝子の変異の検出(ただし、散発例では必ずしも検出できず)

 

 内リンパ嚢腫瘍

・Manski らが1997 年にVHL の合併病変として報告
・VHL のうち10-15%に合併、30%は両側性
・前庭水管内に存在する内リンパ嚢/内リンパ管由来の良性腫瘍
・前庭水管周囲の骨侵食性変化から始まる
・膨脹性に側頭骨錐体部周囲へ浸潤
・強い造影増強効果
・MRI で嚢胞や出血、ヘモジデリン沈着を同定でき、拡散制限なし

・病変部の切除により一般に臨床症状は改善するが、聴力低下は不可逆的なことが多い
・頸動脈管や顔面神経内耳道部への浸潤で切除は一般に困難

 

 結語


・画像所見を系統的に考えることにより、von Hippel-Lindau 病を疑うことが可能である
・聴力温存のため、内リンパ嚢腫瘍の初期診断は重要であり、前庭水管周囲の骨侵食性変化や出血などの所見に注意する
・適切なフォローアップがVHL 関連疾患の早期治療介入を可能にさせ、患者の生命予後改善や生活の質の向上につながる

 

参考文献
・JAMA. 2008;300(11):1334-1342.
・Radiographics. 2008;28(1):68-79.
・JAMA. 1997;277(18):1461-1466.
・N Engl J Med 2004;350:2481-2486.
・Laryngoscope. 2012;123:477-483.

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