可逆性後頭葉白質脳症 posterior reversible encephalopathy syndrome (PRES) |
鑑別疾患 |
・ウイルス感染による脳炎・脳症
・ADEM
・PRES(posterior reversible encephalopathy syndrome)
診断:PRES(posterior reversible encephalopathy syndrome)脳幹・小脳・脊髄型
PRES |
・急激な血圧上昇による血管透過性亢進や血管内皮細胞障害などによって血管性浮腫を生じる(臨床的、画像的に可逆性であるのが特徴)
・高血圧、子癇、臓器移植、感染や敗血症、自己免疫疾患、糸球体腎炎、化学療法、免疫抑制剤(サイクロスポリンやタクロリムスなど)
・頭痛、痙攣、視力障害などで発症
・血圧自己調節能の低い椎骨・脳底・後大脳動脈、穿通枝領域に生じやすい
・高血圧のない症例も20%程度ある
・典型的にはT2WI で頭頂後頭葉優位、分水嶺領域の皮質および皮質下白質や基底核を中心に高信号
・限局したものから広範囲に広がるものまで多彩な画像所見を呈する
PRES の非典型部位と所見
・76 人のPRES 患者の画像所見をretrospective に検討した
ー頭頂後頭葉(98.7%)、前頭葉(78.9%)、側頭葉(68.4%)、視床(30.3%)、
小脳(34.2%)、脳幹(18.4%)、基底核(11.8%)
ー造影増強効果(37.7%)、拡散低下(17.3%)、出血(17.1%)
脳幹型PRES
・脳幹病変主体のPRES 患者22 名を検討
・ほとんどが高血圧を伴う(20/22)
・テント上病変を伴うことが多い(12/22)
・大多数が所見は改善するもラクナ梗塞が残った症例もある
PRES の脊髄病変
・脊髄に病変が生じるのはきわめてまれ
・全員が高血圧をともなう
・頭蓋内病変と同様に可逆性
・運動障害や感覚障害がない
・脊髄中心部を主体とした病変
・テント上病変がない症例もあったが、脊髄病変のみの症例はかなかった
結語 |
・脳幹、小脳、脊髄を中心に病変が出現したPRES の症例を経験した。
・PRES の所見は非常に多彩であり、好発部位でない場所に病変が出現した際も高血圧などが見られる場合は鑑別に挙げる必要がある。
参考文献
・Neurology 2009;73(18):1507-1508 BriBganti et al
・J Neurosurg Psychiatry January 2009;80(1):35 Lapuyade et al
・Brain & Development 2010;32:598-601 Nagato et al
・Ann Saudi Med.2011;31(1):90-92 Choh et al
・AJNR 2007 28:1320-27 Batynski et al
・AJR 2007 ;189:904-912 McKinney et al
・Neuroradiology 2005(47):652-646 Kitaguchi et al
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