S状結腸間膜窩ヘルニア / S状結腸間陥凹ヘルニア intersigmoid hernia |
画像所見 |
左結腸動脈(黄色)を腹側に、左卵巣動静脈と左総腸骨動脈(青)を背側に圧排する | |||
左総腸骨動脈腹側にSac-like appearanceを呈するclosed loopの形成を認める | |||
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同部はS状結腸間膜窩/S状結腸間陥凹に一致 |
その他の画像所見
・S状結腸間膜の下/背側から小腸が入り込んでおり、S状結腸は頭側を走行している。
・腹水貯留を認めるが、絞扼を示唆する直接所見はない。
手術所見
・回腸末端より50cm口側の回腸がS状結腸間膜窩に嵌頓しており、徒手的に容易に解除された。
嵌頓領域の腸間膜に出血を認めたが、腸管の色調・血流は良好であり腸切除は施行せず。
・腹水貯留
診断:S状結腸間膜窩ヘルニア(S状結腸間陥凹ヘルニア)
内ヘルニアの画像 |
[Closed loop]
両端が閉塞したC字型ループの指摘
腸間膜の血管が扇状に広がる
★冠状断・矢状断でも観察する
[ヘルニア門]
ヘルニア腸管の腸間膜内脂肪層と血管群が集簇・伸展・急激な屈曲を示す
[nsac-like appearanceの有無]
S状結腸間膜ヘルニア |
・内ヘルニアの6%
・下腸間膜動静脈系が目印
・男性に多い報告ー付属器の存在が関与?
Intersigmoid hernia (S状結腸間膜窩/S状結腸間陥凹ヘルニア)
正常でも存在し得るIntersigmoid fossaに入る sac-like appearance +
Transmesosigmoid hernia(S状結腸間膜裂孔ヘルニア)
S状結腸間膜の先天的・後天的裂孔から入る sac-like appearance -
Intramesosigmoid hernia(S状結腸間膜内ヘルニア)
S状結腸間膜の一葉のみ腹膜が欠損し間膜内に入る sac-like appearance+
S状結腸間膜 |
・右葉(前葉)と左葉(後葉)から成る扇形の間膜
・扇形の頂点では背側の壁側腹膜と固定され、腸管側は固定を免れ可動性を有する
Intersigmoid fossa(S状結腸間膜窩/S状結腸間陥凹) |
・剖検にて65%に認められる
・S状結腸を頭側に反転した時に、水平根と垂直根の交点あたりに存在する、S状結腸間膜の根部に存在する窪みをS状結腸間膜窩と言う
・さらに頭側で小さな腹膜陥凹が存在しS状結腸間陥凹と呼ばれる
・S状結腸間陥凹は下行結腸間膜内側部の癒合欠如とも考えられている
Take Home Message |
・S状結腸間膜ヘルニアの診断は比較的特異的な所見により診断可能な場合がある
参考文献
・N Takeyama, T Gokan, et al. CT of internal hernias.RadioGraphics, 2005;25: 997-1015
・三毛牧夫ら S状結腸間膜が関与する内ヘルニアに関する考察 外科治療 2011;105:591-598
・松木盛行ら イラストレイテッド 大腸癌手術 膜解剖にもとづく剥離のベストテクニック 医学書院2010
・腰野蔵人ら S状結腸間膜内ヘルニア(腸間膜右葉欠損型)の1例 日本腹部救急医学会雑誌 2012;32:823-826
・Nihon-Yanagi Y et al. Intersigmoid hernia: report of a case Surgery today2010;40:171-175
・篠藤浩一ら 絞扼性イレウスと診断したS状結腸間膜裂孔ヘルニアの1例 日本腹部救急医学会雑誌 2012;32:715-718
・西田保則ら 腹腔鏡下手術を施行したS状結腸間膜窩ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例 日本腹部救急医学会雑誌2013;33:91-94
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