髄膜脳瘤 meningoencephalocele |
診断 |
Basal meningo-encephalocele に起因した髄膜炎
症状:発熱、頭痛(項部硬直)
画像
硬膜肥厚、造影増強効果 髄膜炎(症状の原因)→髄膜炎の原因は?
▼ fs-CET1WI 水平断/fs-CET1WI 冠状断 | |
両側上顎洞および右前頭洞、篩骨洞に粘膜肥厚 内部はT2強調画像で高信号、T1強調画像で低信号 |
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▼ fs-T2WI/fs-CET1WI | |
副鼻腔に液貯留、粘膜肥厚 副鼻腔炎、副鼻腔腫瘍疑い 経鼻的生検 ↓ 生検時、髄液漏出 頭蓋内由来の病変である印象 |
病理診断 Nasal glial heterotopia(異所性グリア組織)
▼ fs-T2WI/fs-CET1WI | |
・篩骨洞内液貯留 髄液と等信号 ・前頭葉との連続性 病理のグリア細胞は脳実質由来を考慮 MR で、前頭領域、篩板の骨欠損部から脳実質が篩骨洞内への落ち込んでいるように見えます。 いわゆるmeningoencephaloceleが認められ、herniation をきたした右直回外側部もしくは内側眼窩回 |
▼ 頭部単純CT(非提示) | |
右前篩骨洞、右上鼻洞に至る軟部陰影 篩骨洞天蓋骨皮質に非薄化、欠損 |
▼ 3D-CT(非提示) | |
右前篩骨洞天蓋に欠損 →Basal meningo-encephalocele |
Encephalocele |
頭蓋骨の欠損孔から、頭蓋内容が頭蓋外に脱出した奇形
頻度 1/10000
部位 後頭部 Occipital 80% 前頭蓋底 Basal 2.5%
Meningocele:髄膜と髄液
Meningo-encephalocele:髄膜と脳実質
Others:脳室、不全型
Basal meningo-encephalocele |
・交通経路 1 眼窩 2 鼻腔/篩骨洞 3 蝶形骨洞/上咽頭 ・再発性髄膜炎 |
transethmoidal sphenoethmoidal transsphenoidal sphenoorbital
➀ 篩骨欠損部から鼻腔内に腫瘤が突出する
➁ 蝶形骨、特にトルコ鞍底部に骨欠損があり、上咽頭に腫瘤を認める
➂ 上眼窩裂より眼窩内に腫瘤が突出する
MRI冠状断が有用(CTもしくはMRI横断像ではしばしば困難)
欠損孔と腫瘤とCNSが繋がっていることを証明する
Meningo-Encephaloceleでは副鼻腔内の液体貯留に注目する必要がある
Aだと下垂体、視床下部が嵌頓して顔面奇形、視力障害を合併することも。
報告年 | 報告者 | 主訴 | 年齢 | 部位 | 治療 | 備考 |
1972 | 内田 | 鼻茸 | 17 | 篩骨洞 | 経鼻切除 | 病理で脳実質確認 |
1975 | 杉田 | 水性鼻漏 | 1 | 篩骨洞 | 腫瘤除去、硬膜閉鎖 | |
1979 | 青木 | 水性鼻漏 | 51 | 蝶形骨洞 | 筋充填 | 髄膜炎既往あり |
1983 | 竹生田 | 偏頭痛、痙攣 | 26 | 篩骨洞 | 人口硬膜 | 交通事故歴 |
1991 | 西原 | 水性鼻漏 | 48 | 前頭洞 | 筋膜、脂肪充填 | 鼻部打撲歴 |
1994 | 兵頭 | 鼻腔腫瘍、痙攣 | 5 | 篩骨洞 | 硬膜縫縮 | |
1997 | 大島 | 頭痛、意識障害 | 33 | 篩骨洞 | 筋膜、骨移植 | 交通事故歴 |
2012 | 本症例 | 頭痛、意識障害 | 60代 | 篩骨洞 | 硬膜閉鎖、脂肪充填 | 右光覚弁 |
先天性の素因があって外傷や手術により誘発される後天性のものもまれにある
7例中3例は過去の外傷に誘発されたことが考えられる。
髄膜炎の原因:副鼻腔由来/頭蓋内由来
参考文献
・脳神経外科学 第10版 p1409 金芳堂
・Erin B. Norris et al, CMAJ, 174(8)2006
・M. Oshima et al, 耳鼻臨床 91(1) p11-16, 1998
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