虫垂根部の子宮内膜症
(およびそれに伴う虫垂拡張) endometriosis of the appendiceal orifice |
画像所見 |
画像所見まとめ |
・回盲部〜虫垂根部に腫瘤性病変をみとめ、虫垂が拡張している。
・腫瘍は T1WI…低信号 T2WI…低信号
・注腸造影で、壁外からの圧迫が主体であることが疑われる。
・右卵巣に内膜症性嚢胞を認める。
腫瘤性病変の鑑別診断 |
・虫垂根部の虫垂癌または回盲部癌 → T2WIは中等度信号が典型
・子宮内膜症 → 右卵巣内膜症性嚢胞もあり、画像的にも一致
・カルチノイド → T2WIは通常高信号
・デスモイド → T2WI低信号で鑑別にあがるが、手術歴などはない。
⇒腹腔鏡下回盲部切除・右卵巣嚢腫核出術施行
病理 |
虫垂は拡張しており、壁肥厚を認めます。 内腔には粘液の貯留を認めます。 →割面では回盲弁を中心に腸管壁の肥厚を認め、一部腫瘤を形成していました。 |
・回盲弁を中心とする腫瘤は、子宮内膜症に伴う腸管壁の変化として認められます。
子宮内膜症の内膜腺が粘膜下層から固有筋層、漿膜下層にまで広く分布しており、同部位の固有筋層の肥厚・線維化を伴い腫瘤を形成しています。
・虫垂壁は肥厚しており、漿膜下層のごく一部に子宮内膜症を認めます。 |
子宮内膜症について |
・生殖可能年齢女性の約5〜15%に認められる。
・骨盤内(卵巣、腹膜、Douglas窩)に多いが、それ以外に発生したものを異所性子宮内膜症という。
・腸管(虫垂を含む)、膀胱・尿管、腹壁、横隔膜・胸郭内等、あらゆる場所に発生しうる。
・虫垂へ播種した際、虫垂粘液瘤を生じることが多い。
・画像上、悪性腫瘍との鑑別は困難であることが多い。
・各画像検査の特徴
CT… 浸潤を呈する腫瘤として描出されることが多い
MRI… 内膜症性嚢胞 T1WI 高信号、T2WI 高(〜低)信号
子宮内膜症 T1WI 低信号、T2WI 低信号
(腸管内膜症)
注腸造影… 壁外性圧排・腸管狭窄が認められ、
腫瘍との鑑別は困難であるが、腸管浮腫・びらんは伴わない
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