硬膜下膿瘍、静脈洞血栓症、髄膜脳炎、可逆性脳梁膨大部病変 subdural abscess, sinus thrombosis ,meningoencephalitis, clinically mild encephalitis encephalopathy with a reversible splenial lesion |
硬膜下膿瘍:subdural empyema/abscess |
・硬膜下に炎症が波及し蓄膿状態を来す。
・円蓋部や大脳縦裂に沿って広範に広がる
・原因:副鼻腔炎・中耳炎・乳突蜂巣炎からの炎症波及(学童期〜成人)
・髄膜炎からの波及(乳幼児)
・開放性外傷や術後合併症など
・治療:抗菌薬加療、穿頭ドレナージ、洗浄
なぜ拡散制限部分が減少したか?
諸説ある・・・
1: 脳実質外の膿瘍でADCが高めに出ることがあり、浸出液やCSFにより希釈される
2: 脳膿瘍でも高ADCの部分を含む不均一のパターンがあり、低ADCの部分は粘稠度より細胞成分に影響される
3: 抗菌薬加療によりADCが上昇することがある。
MERS (clinically mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion)
感染性(インフルエンザ脳炎)や薬剤性などの脳炎脳症、代謝異常、 膠原病に伴う血管炎、腎不全、電解質異常(Na,異常)、外傷や痙攣など、様々な病態に付随して脳梁膨大部正中に一過性の異常信号が出現することがある。
拡散制限を示し、増強効果は認めない。
機序不明:髄鞘内浮腫、炎症細胞浸潤、細胞傷害性浮腫?
Take home message |
1.硬膜下膿瘍は経過によっては拡散制限が目立たなくなることがある。
2.脳炎、脳症、電解質異常などで一過性に脳梁膨大部に異常信号が出現することがある。(MERS)
参考文献
・Magnetic Resonance in Medicine 54:878–885 (2005)
・Pediatr Radiol (2006) 36: 26–37
・Takanashi, Brain & Development 31 (2009) 521–528
・Tada et al. Neurology 63:1854-1858,2004
・臨床放射線 vol. 59 No.1 2014
・Takanashi, Brain & Development 31 (2009) 521–528
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