casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第352回症例 ≫ 症例:診断
第 352 回 東京レントゲンカンファレンス[2014年5月22日]
症例1 50歳代 女性 : CT で多発結節を指摘され、フォローアップされていた
子宮筋腫肺転移
benign metastasizing leiomyoma of the lung

 

良性腫瘍の定義
・発育速度が遅い
・転移を来さない→例外疾患*平滑筋腫、*巨細胞腫、*髄膜腫


 鑑別診断

・悪性腫瘍からの転移
・炎症性肉芽腫
・Wegener肉芽腫
・リウマチ結節
・サルコイドーシス
・アミロイドーシス

 

診断:子宮筋腫からの多発肺転移 Benign metastasizing leiomyoma of the lung


 子宮筋腫の肺転移

・1939 年にSteiner により最初に剖検例の報告
・肺、心臓、血管、筋肉、骨、乳腺、中枢神経、リンパ節
・30〜55 歳の女性に好発:黒色人種、日本人で多く報告
・転移巣は閉経前には緩徐な増加、増大傾向。閉経後や妊娠中に縮小
・多くは術後に発生:原発巣よりも先に指摘される場合もある

画像:
境界明瞭、辺縁平滑な単発/多発結節
FDG 集積はない〜低い(SUV〜1.4)
cf)子宮筋腫はSUV max〜18 と幅がある

病理:
転移を来す遺伝子的要素は明かでない
Estrogen、Progesteron レセプターの発現が子宮由来を強く示唆
低悪性度平滑筋肉腫の除外のために厳密には原発巣の 病理学的確認が望まれる

原発巣別の筋腫の転移分類
*子宮筋腫から:benign metastasizing leiomyoma[ホルモン依存性]
・経過観察
・ホルモン治療:抗エストロゲン製剤、プロゲステロン製剤、アロマターゼ阻害薬
・切除
*子宮外の筋腫から:metastatic leiomyoma[ホルモン非依存性]
*多発肺内筋腫、原発巣不明:multiple fibroleiomyomatous hamartoma[ホルモン非依存性]
・経過観察
・切除

 



参考文献
・Steiner PE. Am J Pathol. 1939 Jan;15(1):89-110.7.
・Evans AJ, et al. Case report. Br J Obstet Gynaecol. 1986 ;93(6):646-8.
・Nishizawa S, et al. Ann Nucl Med2008 ;22(9):803-10.
・Nakajo M, et al. Acta Radiol Short Rep. 2012 23;1(3).
・Esteban JM, et al. Arch Pathol Lab Med 1999;123(10):960-2.

 


戻る