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第 352 回 東京レントゲンカンファレンス[2014年5月22日]
症例5 50歳代 男性 : 腹腔内腫瘤精査目的
腸間膜脂肪織炎
sclerosing panniculitis (mesenteric panniculitis)


 Sclerosing mesenteric panniculitis

・腸間膜の炎症性疾患
・原因不明
・しばしば自己免疫性疾患との合併が認められる(後腹膜線維症、硬化性胆管炎など)

性差: 男>女
発症年齢 20-90 歳、 平均60 歳
好発部位: 小腸腸間膜

病理学的特徴
・Mesenteric panniculitis; 慢性炎症
・Mesenteric lipodystrophy; 脂肪壊死
・Retractile mesenteritis; 線維化
多くの症例で、この3 つの慢性炎症、脂肪壊死、線維化が混在する像を呈する。

臨床所見
・腹痛
・腸管閉塞、虚血
・腹部腫瘤
・下痢
血液検査所見では、炎症所見や貧血を認める場合があるが、正常の場合もある。

CT 所見
・軽度の腸間膜脂肪指揮濃度の上昇
・腫瘤を形成する場合もあり
多くは腸間膜に軟部濃度腫瘤を認めるが、前述の病理学的所見の混在の程度、炎症の程度によって
様々な所見を呈する。

治療と予後
・外科的切除が試みられることもあるが、多くの場合で、周囲血管や腸管の巻き込みが多く、完全切除は困難。
・ステロイド・免疫抑制療法。
・両者の組合せによって、比較的良好な経過をたどる症例がある一方で、切除困難、抑制困難で、
致死的経過をたどる症例もあり、一概に予後良好とは言えない。

 


 

参考文献
・ Horton KM, Lawler LP, Fishman EK. CT findings in sclerosing mesenteritis (panniculitis): spectrum of disease. Radiographics. 2003;23:1561–1567.



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