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第 352 回 東京レントゲンカンファレンス[2014年5月22日]
症例6 60歳代 男性 : 意識障害
ウェルニッケ脳症
Wernicke's encephalopathy


 ウェルニッケ脳症:Wernicke's encephalopathy

・ビタミンB1(チアミン)の欠乏によって起こる脳症。
・アルコール多飲、飢餓、偏食、医原性の原因(点滴治療時のビタミン不足)等による。
意識障害眼球運動障害運動失調を古典的3 徴とする。
・治療はビタミンB1 の静注
・早期に治療されれば予後は良い。
・未治療の場合、10〜20%が死亡、生存患者のうち80%は、記銘力障害、逆行性健忘、作話を特徴とするKorsakoff 症候群に移行する。

画像所見
【T2WI,FLAIR】中脳水道周囲視床内側(第三脳室周囲)、乳頭体、第四脳室底、小脳虫部に、左右対称の高信号域を認める。
【DWI】高信号
【ADC】上昇・低下どちらも報告されている。
【造影MRI】増強効果を認める場合がある。

病変と予後
・中脳水道周囲病変のみの場合は予後が良い。
・視床内側や乳頭体の病変に造影増強効果を認める場合は精神障害が残ることもある。→Korsakoff 症候群
・前頭葉・頭頂葉皮質に病変が及ぶ場合、委縮が進行する


 鑑別疾患

両側視床内側病変を呈する疾患
・両側傍正中視床梗塞
・直静脈洞血栓症
・ただし、小脳〜中脳水道〜視床の典型的な所見がそろった場合Wernicke 脳症を第一に疑う。

 

 まとめ

・ウェルニッケ脳症では、視床内側中脳水道周囲第四脳室底・小脳虫部の所見が特徴的。
・意識障害で発症し臨床情報が不明な場合でも、特徴的な画像所見から本疾患を疑うことが可能である。
・早期の治療が予後を左右するため、臨床情報が不明な場合、画像診断が重要となる。




参考文献
・Zuccoli G et al. AJNR Am J Neuroradiol 2009;30:171-176

 


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