サルコイドーシス sarcoidosis |
画像所見のまとめ |
・両肺の多発結節影、すりガラス影。
・縦隔・肺門部、腹部傍大動脈リンパ節の腫脹。
・肝臓の境界不明瞭な多発低吸収域。
経過
他院で右眼瞼腫瘍摘出術が施行されていますが、その病理結果は肉芽腫性炎症、サルコイドーシス疑いとのことでした。
しかし盲腸癌術後
であったため肺転移・肝転移を否定できず、後日外科により手術が施行されています。
病理 | |||||
▼ H-E染色 | |||||
淡褐色調の境界不明瞭な結節 |
類上皮細胞性肉芽腫 |
多核巨細胞 |
サルコイドーシス |
【特徴】
・類上皮細胞の増殖を伴う非乾酪性肉芽腫で特徴づけられる原因不明の全身疾患。
・肺、肝・脾、リンパ節、耳下腺、中枢神経系、生殖泌尿器系、骨軟部、皮膚、眼などが侵される。
・若年または中年に好発し、やや女性に多い。
・アフリカ系アメリカ人、スウェーデン人、デンマーク人に多い。
【症状】
・症状は非特異的で、半数は無症状。
・胸部X線で両側肺門部リンパ節腫脹が特徴的な所見。
・初期症状の半数は、皮膚や眼症状など胸部以外の症状。
・ACE上昇(活動性と相関あり)。
・血漿CD4/CD8低下。
・高Ca血症。
【経過】
・経過や予後は様々で、増悪・軽快を繰り返す傾向がある。
・結節性紅斑や無症状の両側肺門リンパ節腫脹で急性発症 → 自然消失
・肺病変や多臓器病変を伴う潜在性の発症→肺や他臓器の線維症へと進行。
・5%に再発。
・5%の患者で直接の死因となる。(日本は80%が心病変、アメリカではほとんどが肺病変)
【治療】
・ステロイド。
・重症・再発を繰り返す場合、メソトレキセートなどの免疫抑制剤を使用。
縦隔リンパ節
・85%に胸部X線で胸部リンパ節腫大がみられる。
・両側肺門リンパ節腫大と右の気管傍リンパ節の腫大が典型的。
・慢性の経過では、塊状・卵殻様の石灰化もありえる。
肺病変
・気管支血管束や小葉間隔壁の不整な肥厚
・多発性の粟粒様結節
・スリガラス影と粒網状影
・多発結節影・腫瘤影
・約20%に見られる。
・陰影は上・中葉優位で、多様。
肝病変
・造影CTで境界不明瞭な低吸収の結節
・MRI T2協調画像で高信号の結節
・剖検の50-80%に見られる。
・機能障害はまれ。
・転移やリンパ腫と間違われやすい
参考文献
・ Radiographics Vol.24 No.1
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