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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第357回症例症例:呈示
第 357 回 東京レントゲンカンファレンス[2015年1月22日]
症例3 60歳代 男性
後腹膜神経節細胞腫
retoroperitoneal ganglioneuroma

 

左後腹膜病変の画像所見のまとめ

・PET-CTにて集積は殆どない。→ 悪性腫瘍は除外される
・CTでは石灰化を伴い、脂肪は含まない。動脈周囲相での濃染はなく、緩徐に造影されている。
   → 嚢胞性病変、及び脂肪を含有する腫瘍は除外される
   → hypervascularな腫瘍は除外される
・MRIでは比較的造影されてみえる。

 

腫瘤の所見のまとめ

・後腹膜腫瘍である。
・石灰化を伴う。
・充実性腫瘤。
・良性病変である。
・多血性ではない。

 

後腹膜病変の鑑別疾患

良性、悪性。充実性、嚢胞性。腫瘍性、炎症性。などと非常に多い。

石灰化が比較的見られる後腹膜充実性病変
・廃絶移植腎。
・肉腫(未分化多型肉腫,滑膜肉腫,脱分化した脂肪肉腫,骨外骨肉腫,紡錘細胞肉腫。)
・神経節細胞腫、神経鞘腫、傍神経節腫瘍。
・奇形腫、カルチノイド、GIST、castleman disease。
・GIST、血管腫。

最終的な鑑別診断
・神経節細胞腫
・陳旧性神経鞘腫
  神経節細胞腫>陳旧性神経鞘腫

 

後腹膜Ganglioneuroma

・後腹膜腫瘍の0.7〜1.8%
・20歳未満:40%、20〜40歳:40%、40歳以上:20%
・はっきりとした男女差はみとめない。

Ganglioneuromaの【CT画像所見
石灰化は42-60%
・石灰化は、典型的にはfine and speckled
・単純CTでは低濃度で、内部均一。
・造影効果は弱いか中等度で、均一も不均一もある。しかし、dynamic造影での早期造影効果は、非典型的。

Ganglioneuromaの【MR画像所見】
・MRIではT1WI低信号、T2WIでは不均一な高信号。
・MRIでの造影効果は、中等度から強度まで様々。MRIでの早期造影効果は非典型的。
徐々に造影剤が蓄積していくので、遅い相で造影効果が増強する

 

まとめ

・神経節細胞腫は、神経鞘腫と比べると石灰化が多く、形態は丸い。
・CTでは造影効果が乏しいように見え、MRIの造影T1WIにて造影効果が強く見える腫瘍をみたら、神経節細胞腫を考える。

 



参考文献

  • Rajiah P et al. Radiographics. 2011;31:949-976
  • M.Nishino et al. Radiographics 2003;23:45-57
  • 大畑ら 日臨外会誌 2009;70:3442-3446
  • Lonergan GJ et.al. Radiographics. 2002;22:911-934

 

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Moderator: 小林 進