副腎皮質癌による思春期早発症 precocious puberty caused by adrenal cortical carcinoma |
小児に発生する腎上部腫瘤の鑑別診断 |
Common
・Normal Adrenal Hypertrophy of Neonate
・Neuroblastoma
Less common
・Adrenal Hemorrahage
・Pulmonary Sequestration
・Ganglioneuroma
・Ganglioneuroblastoma
Anton et al: Expert ddx PEDIATRICS
Rare but Important
・Adrenal Carcinoma
・Adrenal Adenoma
・Congenital Adrenal Hyperplasia
・Pheochromocytoma
診断:副腎皮質癌(Aderenal cortical carcinoma)
副腎皮質癌 |
・100万人あたり成人では0.7〜2人,小児では0.3人で発生する稀な悪性疾患で予後不良。
・好発年齢は2峰性で、小児期(本邦の平均は3〜4.2歳)、40〜50歳にピークがある。
・過剰なホルモン分泌による臨床症状の有無により活性型と非活性型に大別される。
・小児では過剰なホルモン分泌を伴う活性型の頻度が高く、男性化徴候やクッシング症候群の精査をきっかけに発見されることが多い(95%との報告もあり)。
・Gilbertらは、5歳以下のクッシング症候群の80〜90%で副腎皮質癌が原因になるとしている。
・副腎皮質より発生。 腫瘤の大きさは平均7〜10cm。
・右副腎からの発生頻度が高いとされているが、15%の症例は両側性に発生する。
・転移しやすい部位:肝、肺、皮膚、リンパ節 (浸潤しやすい部位としては肝、下大静脈、横隔膜が知られている。)
・治療:腫瘍の完全切除、切除後に化学療法が施行されることがある。
画像診断学的特徴
CT所見
(単純CT)
・70%の症例で石灰化を生じる
(造影CT)
・境界明瞭な腫瘤で、造影効果をともなった薄壁で縁取られる
・腫瘤は不均一な造影効果をともない、腫瘤中心部では低吸収域を呈する
・右副腎腫瘤では肝臓や下大静脈への浸潤を見ることがある
Ellen M. Chung, From the Radiologic Pathology Archives, Precocious Puberty: Radiologic- Pathologic Correlation, Radiographics, November-December 2012 .
結語 |
・副腎皮質癌により思春期早発症をきたした一例を経験した。
・本症例では副腎皮質癌として腫瘍内の変性を示唆する不均一な造影効果や周囲組織への浸潤に乏しかったが、腫瘍自体の大きさが小さいため、早い段階で診断された症例と考えられた。
・小児で思春期早発症を示唆する所見がある場合、上腹部腫瘤の鑑別として副腎皮質癌を鑑別に挙げることが必要と思われた。
参考文献
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