びまん性特発性肺神経内分泌細胞過形成 DIPNECH(diffuse idiopathic pulmonary neuroendocrine cell hyperplasia) |
鑑別疾患 |
【右肺S5結節の鑑別】
・原発性 悪性:肺癌 カルチノイド、悪性リンパ腫
良性:過誤腫、間葉系腫瘍(線維腫、血管腫)、肉芽形成性結節、amyloidosis(amyloidoma)
・転移性:気管支粘膜下結節
【多発肺結節の鑑別】
・腫瘍性:転移性肺腫瘍、悪性リンパ腫
・感染性:結核、非結核性抗酸菌症、播種性真菌症
・その他:amyloidosis MMPH MPMN
びまん性特発性肺神経内分泌細胞過形(DIPNECH)肺癌取扱い規約第7版(2010) |
細気管支上皮内に限局した神経内分泌細胞の増殖病変。細気管支上皮内で、孤立した細胞として、あるいは小結節(神経内分泌細胞小体 neuroendocrine bodies)として、または線状に認められる。典型的には閉塞性細気管支線維化に伴われるにもかかわらず、間質あるいは気道の線維化や炎症の原因となる基礎疾患はない。
・1992年に報告された概念
神経内分泌細胞がサイトカインやgrowth factorを放出
→気道の線維化→神経内分泌細胞は反応性に過形成化
→小結節の多発
・典型的carcinoidやtumorletの合併が多い
・50〜70歳の女性に多い
・閉塞性肺機能障害、慢性咳嗽→喘息の誤診が多い
・5mm以下の多発小結節
・気道狭窄→気管支壁肥厚、air trapping (mosaic appearance)
結語 |
・長期変化のない5mm以下の多発肺結節の鑑別にDIPNECHが挙げられる
・その他の疾患との画像上の判別は困難な場合が多いが、病歴・経過が診断の一助となる場合がある
・新しい疾患概念であるため不明な点が多く、今後症例が蓄積され、検討・解析されていくことが期待されるが、その上でも疾患理解は重要である
参考文献
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