亜急性硬化性全脳炎 SSPE(subacute sclerosing panencephalitis) |
亜急性硬化性全脳炎:SSPE(subacute sclerosing panencephalitis) |
【疾患概念】
麻疹が治癒した後、麻疹ウイルス変異株が神経細胞と乏突起膠細胞に持続感染し、神経細胞脱落と脱髄をきたす亜急性・進行性の経過をとる遅発性ウイルス感染である。持続感染の機序についてはウイルス側、宿主側双方の要因が考えられている。
【疫学】
麻疹ワクチン摂取率の低い地域での罹患率が高い。
我が国では年間1-4人程度の発症と考えられている。現在、国内のSSPEは150人程度と推計されている。学童期での発症が多い(全体の80%:2-32歳)。1歳以下での麻疹感染であることが多い。麻疹ワクチン接種歴あるも稀に発症(6.6%)する例がある。
臨床症状:症状からⅣ期の臨床病期に分けられている
Stage Ⅰ:性格変化、行動異常、知能障害
Stage Ⅱ:ミオクローヌス、歩行障害、不随運動、けいれん、知能障害進行
Stage Ⅲ:知的・運動障害・ミオクローヌス進行、唾液分泌亢進、刺激への反応消失、
Stage Ⅳ:昏睡、全身筋肉緊張亢進,自発運動消失
全経過は数年であるが,数ヶ月でIV期になる例もある
【検査所見】
血清、髄液の麻疹抗体価上昇、髄液IgG上昇。脳波で周期性同期性高振徐波(eriodic synchronous discharge: PSD)
【画像所見】
MRI T2強調像やFLAIRで白質に非対称性の高信号域を認める。後頭頭頂葉領域から出現する例が多い。ただし、初期は正常でありMRIが正常でもSSPE否定できない。病期がすすむと脳室周囲白質、脳幹にすすみ、最終的にびまん性の脳萎縮をきたす。拡散強調像ではADC上昇。MRSではstageIII以降NAA/Cr↓、Cho/Cr↑
【治療】
決定的な治療法は確立されていない。薬剤(イノシンプラノベクス、インターフェロン、リバビリンなど)により症状の進行を抑えられる。
画像所見から中学生女児の鑑別診断としてADEM, MS, MELASがあげられる。ADEMやMSは急性発症、MELASは脳卒中様症状が特徴的である。
診断のポイント |
MRI所見と年齢、症状から数多い白質疾患の鑑別ができ、確定診断のための髄影麻疹抗体価測定や脳波検査をrecommendできる。
参考文献
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