casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第360回症例 ≫ 症例:診断
第 360 回 東京レントゲンカンファレンス[2015年5月21日]
症例7 50 歳代 男性 : 健診の腹部超音波検査で脾臓に腫瘤を指摘された
SANT
sclerosing angiomatoid nodular transformation


 Sclerosing Angiomatoid Nodular Transformation (SANT)

2004年 Martel et al. が報告。
・M:F=8:17
・22〜74歳(平均48歳)
・大きさ 3〜17cm
・多くは無症状、偶発的に見つかる

白色調の硬化性線維性間質内に、暗赤色の血管腫様結節が多数認められる。
血管腫様部分は、
capillaries(CD34+/CD8-/CD31+),
sinusoids(CD34-/CD8+/CD31+),
small veins(CD34-/CD8-/CD31+)の3種類の血管構造の増生からなる→過誤腫の一種。
・肉眼所見が特徴的
Martel M. et al. Surgical Pathology. 2004 Oct;28(10):1268-79
Lewis RB. et al. AJR. 2013 Apr;200(4):W353-60

【画像所見】
円形〜辺縁分葉状、境界明瞭
MRI
 T1WI 低信号〜等信号
 T2WI 不均一な低信号 ←ヘモジデリン沈着

造影 dynamic study
 早期相 不均一な増強効果 ←血管腫様部分を反映
     peripheral enhancing radiating lines(88%)
     rim enhancement(25%)

 漸増性の増強効果 ←線維成分を反映
 central scar(22%) 

・組織学的特徴をよく反映した画像所見を呈する。
・これまでの報告ではほとんどが脾摘されてきたが、基本的には良性であることが分かってきており、
 画像上でSANTの可能性が高いと考えた場合には生検も選択肢となりうる?
Gutzeit A. et al. J Clin Ultrasound. 2009;37:308–311.
Curtis T. et al. Abdom Imaging. 2010 Dec; 35(6): 683–689.

 


参考文献

  • Martel M. et al. Surgical Pathology. 2004 Oct;28(10):1268-79
  • Lewis RB. et al. AJR. 2013 Apr;200(4):W353-60
  • Karaosmanoglu DA. et al. Kolean J Radiology. 2008 Jul;9 Suppl:S52-55.

 


戻る