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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第360回症例症例:呈示
第 360 回 東京レントゲンカンファレンス[2015年5月21日]
症例6 80歳代 女性
卵巣線維莢膜細胞腫(両側多発性)
Multiple fibrothecoma of the bilateral ovary

 

 画像所見のまとめ
   
画像 3個の骨盤内腫瘤(A〜C)
・全てT2短縮域を含む(A, Bは内部にT2延長域)
・増強効果は不良
・Aは右卵巣静脈、Bは広間膜、Cは左卵巣静脈と連続
・右付属器にA, Bと連続する索状構造 ▶ 捻転疑い
・子宮内膜の軽度肥厚:9.3mm(>4mm:閉経後としては肥厚あり)
・胸腹水

 

 術中所見

・開腹にて両側卵巣腫瘍(白色・弾性硬)を認めた。
・右卵巣に20cm大の腫瘤を認め、ダグラス窩の9cm大腫瘤とつながっていた。
・左卵巣に7cm大の腫瘤を認めた。

画像 画像
右腫瘤A・Bは根部で相互巻絡1回、各腫瘍自体も捻転(腫瘤Aは540度、腫瘤Bは360度回転)しており、解除した。
   
【手術所見】
右腫瘤A・Bの捻転は緩く、卵管の変色は無かった

【病理所見】
変性・出血がめだった。

画像 【術前MRI】
右付属器に腫瘤A・Bと連続する索状構造。腹痛などの臨床症状はなかったが、捻転を疑った。
→緩い捻転 – 解除が間欠的に起こっていた可能性
 
 
 
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小型紡錐形細胞が疎に増殖、背景に線維化を認める   右腫瘤では浮腫、出血が目立った

 

診断:卵巣線維莢膜細胞腫(両側多発性) Multiple fibrothecoma of the bilateral ovary
・右は二個;捻転および相互巻絡あり
・左は一個
・Meigs syndrome合併


 Fibroma/Fibrothecoma

【臨床像】
・線維性組織や莢膜細胞類似細胞からなる性索間質性腫瘍。良性卵巣間質性腫瘍の中で最多。
・頻度:全卵巣腫瘍の4%。
・中年、閉経後に多い。
・片側性が多い。両側・多発は約10%。
・内分泌活性やMeigs症候群を伴う症例あり。Leung et al. Gynecol Obstet Invest 2006; 62: 1-6
Khashper et al. RadioGraphics 2012; 32: 1047-1062
Shinagare et al. AJR 2012; 198: 296-303

【画像所見】
T1WI:筋と同程度の低〜等信号(非特異的)
T2WI:大部分が筋と同程度の低信号
Gd-T1WI:弱い増強
肥厚した子宮内膜や内膜ポリープ(fibrothecomaでは内分泌活性を有する)
Chung et al. Abdom Imaging 2014
Khashper et al. RadioGraphics 2012; 32: 1047-1062
Shinagare et al. AJR 2012; 198: 296-303

【特徴的画像所見:文献報告】
腫瘍径6cmを越えると被膜、変性、辺縁の嚢胞性変化、T2WIで不均一な信号、不均一な増強効果の頻度が増加
・・・間質浮腫、莢膜細胞の変性による
Shinagare et al. AJR 2012; 198: 296-303

 

エストラジオール:女性での基準値
時期 単位(pg/mL)
卵胞期前期 10〜78
卵胞期後期 31〜200
排卵期 103〜366
黄体期前期 14〜225
黄体期後期 ≦251
閉経後 ≦18
本症例(80才代)は30.7と高値!
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子宮内膜の肥厚

 

 Take Home Message

Fibroma and Fibrothecoma

・両側・多発例は10%で発生。
・腫瘍径が大きい場合、MRI所見(信号強度や増強効果)が有意に異なるほか、捻転や巻絡を生じやすく注意が必要。

 



 

参考文献

  • B. M. Chung et al. Abdominal Imaging 2014 Oct2
  • Shinagare et al. AJR 2012; 198: 296-303
  • Khashper et al. RadioGraphics 2012; 32: 1047-1062
  • Leung et al. Gynecol Obstet Invest 2006; 62: 1-6


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Moderator: 中島 孝彰