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第 361 回 東京レントゲンカンファレンス[2015年6月18日]
症例3 40 歳代 男性 : 腹痛
メッケル憩室炎に合併した腸閉塞
Meckel's enteroliths with small bowel obstruction


 メッケル憩室

・メッケル憩室は小腸で最頻の先天異常で、発生頻度は約2%
・回盲部から40〜60cm 口側、腸間膜の対側にみられることが多い
・約20%に胃粘膜や膵組織などの異所性組織を認める
・有症状例は約4.2%(出血、憩室炎、潰瘍、腸重積、腸閉塞、腸石など)

メッケル憩室内の腸石
・メッケル憩室内の腸石は非常に稀 (2/776 例や24/84 例との報告あり)
Kusumoto H ,et al : Am J Surg 164, 1992 , Pantongrag-Brown L ,et al : AJR 167, 1996
・メッケル憩室内の腸石は三角形で扁平形、辺縁の石灰化と中心部の放射線透亮像
・奇形腫のteethlike calcification と誤診されることがある

メッケル憩室内の腸石の成因
・アルカリ性環境下でのカルシウム塩の析出→異所性胃粘膜が欠如しているか少ないことが関連
・狭い入口部による憩室内の内容物のうっ滞
・本症例では異所性胃粘膜が少なく、メッケル憩室内のアルカリ性環境が腸石の成因と推察される。

 

 Take Home Message

小腸内に三角形、扁平形、中心部放射線透亮を呈する腸石をみた場合にはメッケル憩室を考慮する。


 


参考文献

  • H.Wouter,et al:Radiology; 214: 524-526