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第 362 回 東京レントゲンカンファレンス[2015年9月24日]
症例6 10 歳代 男性 : 多発関節痛
慢性再発性多発性骨髄炎
chronic recurrent multifocal osteomyelitis(CRMO)


 鑑別

・慢性再発性多発性骨髄炎
・感染
・腫瘍
  Langerhans cell histiocytosis
  血液疾患(白血病、悪性リンパ腫)
  multilfocal Ewing sarcoma

 

 慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)

原因不明:遺伝性疾患(PSTPIP2遺伝子)の関与が報告されている。
 SAPHO症候群の亜分類
 SAPHOはCRMOの他、胸肋鎖骨肥厚症、掌蹠膿疱症性骨関節症を包括する概念
無菌性・非腫瘍性の骨・骨髄炎症性疾患
対称性、多発性に発生し、症状の寛解と増悪を繰り返す

好発年齢・部位
・小児期〜青年期にみられる
・最多:下腿の長管骨の骨幹端、骨端
・全体の4−30%に脊椎骨病変がみられる
  脊柱変形を呈することがある
胸骨、鎖骨、下顎の病変はCRMOを強く示唆する

画像所見
•通常の骨髄炎と類似
•多発性病変の検出にはFDG-PETや骨シンチが有用

診断
除外診断 →骨生検が必要

鑑別疾患
・感染
・腫瘍(白血病・骨腫瘍・Langerhans cell histiocytosis)
・原発性骨疾患(Fibrodysplasia・Paget’s disease等)

予後 
・良好
・炎症が長期 →関節拘縮、脊柱変形など

治療 
・NSAIDの長期投与が1st choice
・ビスフォスフォネート
・重症例には抗TNF療法

考察
・本症例は症状の経過と画像所見からCRMOが鑑別に挙げられた。
・CRMOには抗菌薬は無効である。
  →CRMOは除外診断であり、骨生検が必要となる。
   小児の慢性・多発性骨髄炎の所見をみた場合、鑑別に挙げることは重要と考えられる。

 

 Take Home Message

・小児の寛解再発を繰り返し、軽微な炎症反応を来す骨髄炎ではCRMOを考慮する必要がある


 


参考文献

  • Ramesh S.lyer,et al:chronic Recurrent Multifocal Osteomyelitis:Review. AJR 2011;196:87-91
  • Geetika Khanna,et al:Imaging of Cronic Recurrent Multifocal Osteomyelitis. RadioGraphics 2009;29:1159-1177
  • Julien Wipff,et al:Chronic Recurrent Multifocal Osteomyelitis. Joint Bone Spine 2011;78:555-560