腫瘤形成性多発性硬化症 tumefactive multiple sclerosis |
画像所見 |
➀病変の範囲に比べmass effectが少ない |
病変生検 |
H-E染色 弱拡大 及び強拡大 |
Tumefactive MS(腫瘤形成性多発性硬化症)
多発性硬化症 炎症性脱髄性疾患 |
【病因】自己免疫的機序、ウィルス説等あり未だ不明。
【好発年齢】15~50歳。30歳頃がピーク。男女比1:1.5。
白質中心、皮質下等に多数の脱髄斑が時間的空間的多発。
【好発部位】T2WI、FLAIR像にて高信号
➀白質:上衣下静脈の走行に一致し長軸が側脳室壁に垂直な卵円形〜線状信号:
ovoid lesion(病理Dawson’s fingerに対応)融合すると脳室周囲で辺縁凹凸:(lumpy-bumpy pattern, scalloped appearance)
➁皮質(5%)〜皮質下U-fiber領域:脳皮質内静脈とU-fiber域への分枝の灌流域に一致。
MS症例の50%強にU-fiber病変検出の報告有り。
【造影剤増強効果】BBBの破綻を反映、結節状とリング状
造影されない部分が腫瘤の皮質側に存在する事がある。(open-ring sign)
鑑別疾患 |
脳腫瘍:
脳転移、グリオーマ、悪性リンパ腫
感染、炎症:
PML,HIV脳炎
免疫に関与した脳症:
抗リン脂質抗体症候群、SLE,ベーチェット病、
サルコイドーシス 等
Take home message |
➀ 病変に比しmass effectの少ない脳腫瘤性病変は 腫瘤形成性多発性硬化症(やリンパ腫)を疑いうる。
➁ 多発性硬化症のT1強調像はT1black holeと言われる高度の脱髄、軸索の消失に伴うT1強調低信号(10〜20%)が有名だが、
活動性病変の辺縁はMacrophage, free radicalの影響で軽度T1強調高信号を呈することも知られている。
➂ MSでは拡散強調像ではADC低下〜上昇まで様々。
➃ MSは脱髄病変であるため造影されない部分が腫瘤の皮質側に存在する事がある。(open-ring sign)
参考文献
◀ 症例提示へ戻る | 画像をまとめて見る…PDF |